「主食をやめると健康になる」は本当か?

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なかなか刺激的なタイトルの本であります。

主食をやめると健康になる ー 糖質制限食で体質が変わる! 、ダイヤモンド社、江部康二、2011/11/11

この書籍を紹介するDIAMOND onlineの記事でたまたま見つけたのでありますが、これを読むとけっこう勉強になるのであります。

 このように、糖質・脂質・タンパク質の3大栄養素のうち、血糖値を上げるのは糖質だけなのです。

 糖質を摂ると、血液中のブドウ糖(血糖)をエネルギーに変えようとして、インスリンが大量に追加分泌されます。インスリンは生きていくのに欠かせない大切なものですが、別名「肥満ホルモン」とも呼ばれるように、多く出すぎると体に悪い影響を与えてしまいます。

 そして実は、正常な人においても、この糖質の摂取がもたらす食後血糖上昇とインスリン大量追加分泌のくり返しが、糖尿病・肥満・メタボ、さらにはさまざまな生活習慣病の根本要因になっている可能性が高いのです。

 糖質制限食の基本的な考え方は、このような生理学的な特質をもとに、できるだけ糖質の摂取をおさえて、食後血糖上昇とインスリンの過剰分泌を防ぐというものです。

 簡単にいえば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは、米飯・パン・めん類などの米・麦製品や、ジャガイモ・サツマイモ・里イモなどのイモ類など、糖質が主成分のものです。もちろん糖質制限ですから、甘いお菓子やジュースもNGです。

 それさえ注意すれば、肉や魚はお腹いっぱい食べられます。焼酎やウイスキーなどの蒸留酒なら、お酒を飲んでも構いません。

 具体的な実践法については次回以降で説明しますが、ここでは3つのやり方があることを覚えておいてください。
(中略)
■ 現代人の体は「主食」の摂りすぎに
■ 適応できていない

 現代ではご飯やパンなどの穀物が主食となっており、それを誰もが当たり前と思っています。しかし、これもまた当たり前なのですが、農耕が始まる前の人類の主食は決して穀物ではありませんでした。

 英国の栄養学の本に『ヒューマン・ニュートリション』という名著があります。日本語に訳すと「人間栄養学」という意味で、発行以来10版を重ねています。この本の日本語版75ページに次のような記述があります。

「現代の食事では、……デンプンや遊離糖に由来する『利用されやすいブドウ糖』を大量に摂取するようになっている。このような食事内容は血糖およびインスリン値の定期的な上昇をもたらし、糖尿病、冠状動脈疾患、がん、老化等、多くの点で健康に有害であることが強く指摘されている。農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。ましてや高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれてないのである」

 人類の本来の主食は穀物ではないし、まだまだ穀物ベースの食物に適応できていないと明記されています。私もまったく同感です。『ヒューマン・ニュートリション』では、穀物の過剰摂取の害、とくに精製炭水化物による「血糖およびインスリン値の定期的な上昇」が多くの点で健康に有害と強調しています。これは私が日頃から主張している「精製炭水化物の摂りすぎによる食後血糖上昇とインスリンの過剰分泌が生活習慣病の元凶になっている」という説と、まったく同じと言っていいと思います。
ご飯・パンの糖質が現代病の元凶だった!
続いて、ジョブズを死においやるきっかけとなった臓器、すい臓のお話であります。

■ 現代人の健康を左右する
■ インスリンの役割とは?

 それでは、なぜ食後血糖上昇とインスリンの過剰分泌がさまざまな病気や症状を引き起こすのでしょうか? それを説明するために、まずはインスリンの役割について簡単に触れておきます。

 糖尿人はよくご存じでしょうが、インスリンはすい臓のランゲルハンス島という部分にあるβ細胞でつくられている物質で、血液中のブドウ糖の量(血糖値)を調整するのが主な役割です。体内で唯一、血糖値を下げる働きをしています。インスリンには24時間継続して少量出続けている「基礎分泌」と、糖質を摂って一時的に血糖値が上がったときに出る「追加分泌」の2種類があります。

 これでわかるのは、何も食べていないときでも、人体には少量のインスリンが必要ということです。このインスリンの基礎分泌がなくなると、人体のほとんどの組織ではエネルギー代謝がまともに行えなくなってしまいます。

 そして、食事などで糖質を摂ると、血液中のブドウ糖の量が増えるので、インスリンも増やさなければなりません。そのためにインスリンを余計に分泌することを追加分泌と呼びます。

 追加分泌されたインスリンは、血液中のブドウ糖を骨格筋や心筋などの細胞内に取り込み、エネルギー源として使えるようにします。またインスリンは、血液中の余分なブドウ糖を体脂肪に変える働きもしています。一方でブドウ糖を燃やし、他方でブドウ糖を体脂肪に変えることで、インスリンは血液中のブドウ糖の量を減らすのです。

 このようにインスリンは、生きていくために欠かせないホルモンで、その分泌を担っているのがすい臓のβ細胞なのです。糖尿病というのは、このインスリンの作用不足によって血糖値が高くなる病気です。

■ 生活習慣病の元凶!
■ 「ブドウ糖ミニスパイク」とは?

 さて、空腹時血糖と食後血糖の差が大きいことを「ブドウ糖スパイク」と言います。世界中の糖尿病専門医の間で定着している言葉ですが、この差が大きいほど体内の血管内皮はリアルタイムで傷つけられ、将来の動脈硬化や心筋梗塞のリスクとなります。
ご飯・パンの糖質が現代病の元凶だった!

ここまで読んで思い出したのであります。NHKのためしてガッテンであります。

糖尿病のカギ「β細胞」
Aさんの血糖値を劇的に改善させた「薬」。
この薬は糖尿病の最も重要なカギとなる部分に作用します。
糖尿病のカギを握るのは、すい臓、中でも「β細胞」と呼ばれる細胞です。
β細胞は、血液中に血糖がやってくると
インスリンを分泌します。
ところが、暴飲暴食などで血糖が増えすぎると
β細胞は更にがんばらねばなりません。
あまりがんばりすぎると、β細胞は疲れ果て、
インスリンを出せなくなってきます。
さらに血糖が増え続けると、血糖に攻撃され、
β細胞は最悪の場合死んでしまいます。
こうなると、インスリンは分泌されませんから、
糖尿病はますます悪化してしまいます。
このとっても重要なβ細胞を助けてくれるのが、Aさんを救ったあの「薬」なんです。
糖尿病が完治する!? すい臓を復活させる薬

この「薬」がなんであるかは、この先をお読みいただくとして、このβ細胞の疲弊の原因となるのが、今回の書籍の著者が主張する「ブドウ糖ミニスパイク」と言うわけであります。

【図1】は、2型糖尿病女性の血糖値を示したものです。早朝の空腹時血糖値は88?/dlですが、通常の糖尿病食で食パン2枚を食べた2時間後には321に跳ね上がっており、233も上昇しています。

 血糖値の正常値は、空腹時で110未満、食後2時間で140未満なので、この女性の食後血糖値が急激に上昇していることがわかります。このような人は、普通の健康診断では空腹時血糖値だけを検査して正常と見なされてしまいますから、注意が必要です。一方、糖質制限食ならまったくスパイクなしです。

 また、正常人でも、白米や白いパンなど精製された炭水化物を1人前食べると、食後血糖値は60?70も上昇することがあります。私はこれを「ブドウ糖ミニスパイク」と名づけました。糖尿病患者におけるブドウ糖スパイクほど大きな変動はないものの、人体に少なからず害を与えている可能性が高いからです。むしろ私は、このミニスパイクこそが、肥満やメタボ、そして生活習慣病の元凶と考えています。

 例えば、正常人が精製炭水化物を食べた場合と、未精製の炭水化物を食べた場合を比べると、血糖値の上がり方は明らかに違います。また、脂質・タンパク質を摂っても血糖値は上がりません。

【図2】は、正常人の女子大生が白米1人前を食べたときの血糖値と、焼き肉1人前を食べたときの血糖値を比べたものです。白米のときは、空腹時100?から食後1時間で165まで上昇してミニスパイクを起こしていますが、焼き肉のときはまったくスパイクなしです。

 ここで重要なのは、1日に何回も糖質を摂ると、そのたびにミニスパイクが起きるということです。そして、ミニスパイクのたびにインスリンが大量に追加分泌されて、代謝が乱れます。基礎分泌の数倍から30倍ものインスリンが追加分泌されますから、人体にとっては救急車の出動に等しい緊急事態といえるでしょう。血糖値が180を超えるとリアルタイムで血管内皮が傷つけられるので、すい臓のβ細胞はこの緊急事態を何とかおさめようと一生懸命にインスリンを分泌するわけです。
ご飯・パンの糖質が現代病の元凶だった!

ここまで来て、著者は、ごはんやパンといった主食を控える食事療法を実践するのであります。

なんだか引用ばかりで申し訳ないですが、将来消えてしまってはおしい情報ですので、あえて長文引用をお許しいただきたいのであります。

と、ここまで書いて、またまたNHKのためしてガッテンの番組中のコメントを思い出したのであります。(なんて言いながらよくテレビを観ているねと言うのは、つけっぱなしの音なしテレビの映像がなんと無意識のうちに記憶にはいっているのであります)

糖化を加速する要因は、高血糖です。
その最たるものは、糖尿病。
これまで糖尿病は、こわい血管病であると、
広く認識されてきました。

しかし、糖化という観点から見ると、それだけでなく
実は「老化を加速する病気」とも言えるのです。

糖尿病でない人も注意したいのが、
食後の高血糖です。
最近、空腹時血糖値が正常でも、
食後の血糖値が高い糖尿病予備軍の人が増えています。

日頃から食後の血糖上昇に気をつけることが、
慢性的な高血糖状態になることの予防につながります。

体の若さを守るためにも、
高血糖には注意したいものです。

※血糖値を上げないために、食事の炭水化物の量を極端に減らすことは危険ですので、ご注意ください。
糖尿病は老化を加速する!?

気になったのは、この最後の「※血糖値を上げないために、食事の炭水化物の量を極端に減らすことは危険ですので、ご注意ください。」の部分なんであります。

果たして、著者がすすめる「主食を控える食事療法」って大丈夫なんでありましょうか?

それよりずっと効果的だと思ったのが、このためしてガッテンの続きであります。

糖化をなるべく進めないことは、
老化予防につながります。

とはいえ、
○○を食べてはいけない
△カロリーまでしか食べてはいけない
などと制限をしてしまうと
ストレスも大きく、長続きしません。

そこで今回ご紹介したのは、
食後の血糖値の急上昇を抑える、
ちょっとした食事のコツです。

みなさんは、
カレーライスとサラダ、どちらを先に食べますか?

ごはんを先に食べると、
血糖値が一気に上がりやすくなります。
それに対し野菜などの食物繊維を先に食べると、
腸での糖の吸収がゆっくりになり、
血糖値の上昇もゆるやかになります。

糖化を予防する食事のコツは、
「先に野菜を食べること」なのです!

実際に糖尿病患者さんの食事療法として、
「食べる順番療法」を実践している病院では、
血液中の糖化の指標値である、
糖化ヘモグロビンの値(HbA1c)が大きく改善する効果も見られています。

さらに、
先に野菜を食べることにより
(1)自然と野菜を食べる習慣がついたり
(2)自然とごはんが控えめになったりするため、
糖化予防はもちろんダイエットまでもが
効果的に実践できると考えられています。
糖化を防ぐ!食事のコツ

と言うことで、本日の昼飯。

いつも、コンビニでおにぎり3個買ってそれで済ませているのですが、今日から改善。

「味付けめかぶ」3個入り178円+紅鮭切身のおにぎり150円也。

めかぶの残り2個は明日と来週月曜に一つずつであります。

いや、これで十分いままでおなかが持つのでありました。

あ、もちろん先にめかぶを食したのであります。 KAI