希望は思わぬ処からやってくる(3)

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なでしこジャパンが、期待通りやってくれているのであります。ぜひとも金メダルを祈って、あえてここではコメントしないことにするのであります。

このところ、「バカ」だとか「知性」に欠けるだとか、それこそ「知的」レポートを目指すにふさわしくないエントリーのオンパレードでありますが、問題は、曽野綾子のような、本来「知的」エリートと言われる文化人が、数十万人単位にもおよぶ被災者、避難民の避難生活に対するリアリティを、例えばアフリカの貧民の日常生活と同一視するかのような言説に終始されるのは、いったいぜんたいなぜなのか。

はっきり言えば、自分は足腰弱く目がよく見えないからと言わずに被災地をくまなく歩き自分の目で確認して、避難民のほんの数人とでもいいから、よく話を聞き、そのうえで、みずからの言説を展開なされるならば、なんのまちがった自己本位の論理を押し付けるような間違いを犯すこともなかったのであります。

ところが、あなたは、ここで大きな間違いを犯していたんです。コロンボ風に言えば、つまりはそう言うことなんであります。

それは、彼女のような文化人特有とも言ってもいい、ある「習性」によるのであります。

人の持つ時間は、すべての人にとって平等なんであります。

これをすべての人が、自分の好きなことに好きなだけ時間を使っていたとしたら、誰も決して「成果」を出すことは不可能なんであります。であるならば、作家であれば「執筆活動」にもっとも時間を使い、他はできるだけ時間を節約しようとする。

これを専門用語で言えば「取材」と言うのでありますが、この他の時間である「取材」を、無意識のうちに「テレビ村」と言う「思考のフレーム」で済ませてしまう。

もう少し若い作家は、これにネットを使いこなすのでありますが、彼女のような年代はそうはいかない。

結果的に、アフリカ旅行以外の取材源のほとんどが、新聞記事やテレビと、あとごくうちわの人間関係によって構成されることになるのであります。

すなわち、「テレビ村」が、「リアリティ」の大きな一部を占めるに至ったと言うことなんであります。

もちろんこれは、「テレビ村」で避難民の生活が十分に報道されていないと言っているのではありません。丹念に番組を追っていけば、例えば原発避難民のいつ帰還できるとも知れない毎日が克明にレポートされているのであります。

このうちのひとつでも見れば、「自助の精神も復旧復興に不可欠」なんてことは一言も言えなくなると思うのに、ウチダ先生や曽野綾子は、平然とこれを表明するのであります。

なんども例にあげますが、原発避難民の体験が、曽野綾子の「アフリカ体験」や、ウチダ先生の「阪神淡路震災体験」とはまったく似て非なるものであることを、まずもって気づく必要があるのであります。

さらに石巻市などことごとくの壊滅的被害も、いままで多くの「震災体験」とは本質的に異なるものであるのであります。

これらのいずれもがすべて、「帰還」のあてのない人生に、あの日を持って突然に放り出された人々なんであります。

この人々の、いまのいまの生活を、一言で言えば、「自助」以外の何者でもないのであります。

せめて、あの百年前の後藤新平のような、復興と言う「夢と希望」を熱く語りかけるリーダーがいたとするならば、「自助」でないものもあてにすることができたのに、これがまったくもって虚しいまでに、皆無。

要するに、「自助」の精神なんて、国や自治体が責任持って「夢と希望」を住民に示して初めて、意味を成すのであって、これが皆無にあっては、最初から「自助」するしか生きることがかなわない。つまりは、そう言うことなんであります。

であるからこそ、なでしこジャパンの乙女たちが与えてくれる無条件の「夢と希望」こそが、他のなににもましてきわめて貴重なはげましとなるのであります。

これが、エアコンの効いた部屋にいて、贅沢三昧な飲食にあけくれていては、わからない。わからないから、心の目を開くことも、心に血を通わすことも、ない。当然と言えば、当然すぎる、今回の「知性」の変調問題の「本質」なんであります。

あ、違った。今回のテーマは、こちらの問題ではなく、「希望」がやってくるでありました。

 時事通信が7〜10日に実施した世論調査によると、菅内閣の7月の支持率は前月から9.4ポイント急落し12.5%となった。2月の17.8%を下回り、2009年9月の民主党政権発足以降、最低を更新した。不支持率は11.6ポイント増の71.2%だった。退陣を表明しながら時期を明確にしない菅直人首相への不信に加え、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働をめぐる政府内の混乱などが響いたとみられる。首相の一段の求心力低下は必至だ。
菅内閣支持、最低の12%=68%「退陣不明確に納得せず」−時事世論調査

やっとの、やっと、「希望」が見えてきたのであります。

12.5%。

この数値であれば、「正常値」なんであります。

世間には、「バカ」や「キチガイ」は、1割くらいは常にいるもんなんであります。

であるからして、これ以外の人が、支持しないとなれば、もう先は長くはないんであります。

おまけに米国連邦債務の上限引き上げ問題。8月2日期限が眼前にせまってきた。おそらくは直前に議会は手を打つしかないと思われるのでありますが、これが日本にとっては「希望」につながる、「良い知らせ」なんであります。

もちろん、米国債のデフォルトによる日本経済直撃と言う「恐怖」の「シミュレーション」体験と言う意味でありますが、いや実際問題、これが現実になれば、どうなるか、日本国債デフォルトを含めて、関係者一同少しは肝を冷やして考えてもらいたいもんであります。 KAI