曽野綾子が、前回ここで取り上げた「透明な歳月の流れ」と言うコラムでの「大臣叩き」批判を今朝もこりずに書いているのですが、「知性の変調」はそのまま「順調」なようであります。
いちいち書き写すのも手間なので、要約すると「震災復旧復興の根本解決に自助の精神が必須なのに、メディアがそろってこれを支持しないで、口に苦いことを言う大臣叩きばかり、これが若い人たちの好みなんだとあきらめて、以降押し黙ることにした」そうです。
震災から4カ月にもなんならんとするいまのいま、この状況が、まるでおわかりになってはいない。
今回避難民は10万人規模にもおよぶと言うけれど、この4カ月のこの人々の避難生活を「自助」と言わずして、いったいなにをどうすることを「自助」と呼べばよろしいのでありましょうか。え?曽野さん?
曽野さんには、もう一度、後藤新平の言葉をかみしめて、いったいぜんたい「自助」とはどう言うことを言うのか一から勉強しなおしてもらいたいもんであります。
「自助」とは「自治」。自らを治める、「我が身を修める」ことを言うのであります。「まず我が身を修めるというほかはない。我が身を修める自治の力が治国平天下の基礎である。
かねて私のいう自治の三訣(さんけつ)『人のお世話にならぬよう。人のお世話をするように。そして報いを求めぬよう』と少年時代から心がけてこれを実行するのであります」
決して、ボランティアや自治体の世話にはならないと言って断ることでもなんでもない、「人のお世話にならぬよう」とする自分自身の心の姿勢を問うているのであります。それは、もう一つの「自治」、「人のお世話をする」と言う「互助」の精神からもおのずと導かれることでもあるのであります。すなわち「お世話をする」相手の人が「世話にならぬ」と断りなさいとは言ってはいないと言うことからも明らかなんであります。
小説家なのに、この程度の「言葉」の意義の違いもおわかりにならない。
10万人以上の避難民にとって、この4カ月、ほとんどないに等しい国の支援をよそに、いや支援のない中でこそひたすら生き延びるための「自助」の努力の毎日であったことが、なぜに曽野さんには、おわかりいただけないのでありましょうか。
そしてこちらは「自助の精神」からは真逆の「精神」をお持ちの方々のお話であります。
自民党も、党員資格停止中の河野太郎のような一部の議員を除くと、やっぱりこの「自助」の精神もへったくれも、あったもんじゃない、となってしまうのであります。いま国会では原子力損害賠償支援機構法が審議されています。
その内容は、事故を起こした東京電力の負担軽減を優先して、何ら責任のない利用者や他の電力会社に先に負担を強要する、たいへん不当な内容です。
(中略)
当然みんなの党は一致団結してこの法案に反対しています。
しかし、自民党内では、われわれと同じ意見の人は少数派で、民主党内ではさらに異端視されています。
民主党からこの勉強会に出てきた小沢鋭仁さんは立派です。民主党は電力会社および電力労組に頭が上がらないし、自民党は電力会社および関連業界に頭が上がりません。
マスコミも電力会社に対して批判的な報道は控え目です。
この勉強会もさほどマスコミ関係者は来ていませんでした。電力に関しては、政界+電力会社+経産省+労組+マスコミの強固な既得権益保護層が問題を覆い隠しているように思います。
(東電救済法案の行方)
だからいっこうに自民党の支持率があがってこない。これが、なぜか彼らにはいつまでたってもわからないんであります。
その点において、自民党も曽野綾子も、一緒なんであります。
彼らや彼女らには、新聞やテレビを通してしか、国民の声が届かないし、また国民の声=大手メディアの声、と言うおおいなる勘違いがあるのであります。
件の「大臣叩き」も、「お前が言うか」と言うのがKAIをはじめとした大方の人々の気持ちであるにもかかわらず、メディアはその「言い方」の問題としてミスリーディングを繰り返す。もちろん、大臣の脅しに屈した負い目への意趣返しでありますから、国民の声などきいている余裕など、なかったと言うのがほんとのほんと真実なんであります。
それでも昔はこれでよかった。
曽野綾子にしろ、まさか自分の書いた新聞のコラムをネタにネットでコメントするやつがいるなどとは、いまだ夢にも思ってはいないし、ですから、いつまでも新聞読者だけの平和村の「思考のフレーム」が通用すると思ってしまう。
もしいま自民党が本気で政権を奪還する気があるなら、電気代があがることに機敏に拒否反応を示すだけでいい。
脱原発も、電気代は決してあげない、いや、下げる方法を必ず私たちは実現しますと言えばいいだけ。
なんでこんな誰でも分かることが、言えないのか。言えば間違いなく政権を奪還できるのに。
人は、見えないものにおびえると言いますが、はてさて、なにがコワイのでありましょうか? KAI