この奇妙な閉塞感を打ち破る方法は、恐らくこれしかないのかもしれない。
「勝利」であります。
まずは、W杯U17の「勝利」であります。
次の準々決勝の相手はブラジル。サッカーのU−17(17歳以下)日本代表が、世界の舞台で健闘している。メキシコで行われているワールドカップ(W杯)で堂々の8強入り。日本で開催した1993年大会に並ぶ好成績を海外で残した意義は大きい。
29日のニュージーランドとの決勝トーナメント1回戦は、レベルの高い技術と運動量で圧倒した。前半20分の先制点は、位置取りの甘いGKの裏をかき、右サイドでボールを奪ったMF石毛(清水ユース)が決めた。2分後には、少ないタッチで相手守備陣を崩し、最後は石毛が詰めて2点目。一気に流れをつかんだ。
その後も危なげないパス回しで日本が主導権を握った。DF早川(新潟ユース)が2ゴール、交代出場の南野(C大阪U−18)も得点して選手層の厚さを見せた。近い将来、A代表を支える育成年代の強化が、順調に進んでいることを証明した。
(育成年代、高い技術証明=U−17日本、ブラジル戦で狙う4強)
今回の内容からすれば、ブラジルに圧勝してもおかしくない。
それにしてもU17世代。1998年フランスW杯、日本が初めてW杯本戦出場を果たしたときにサッカーを始めた子ども達であります。当時なんの実績もなかった岡ちゃんによって成し遂げられたW杯出場が、13年たってこんなかたちでかえってくる。
これこそ「勝利」の力なんであります。
つづいて、「なでしこ」。
今回この試合を見て思ったのは、ずいぶん男子のサッカーに近くなってきたってことであります。サッカーの女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会第6日は1日、レーバークーゼンなどで1次リーグB組の第2戦を行い、日本は沢(INAC)の3得点などでメキシコに4−0で快勝し、2連勝の勝ち点6で同組2位以内を確定させ、過去最高に並ぶ8強入りを決めた。沢は男女を通じて代表通算得点を最多の78点とした。
(日本8強入り、メキシコを4−0)
男子のサッカーとは、ボールコントロールのことで、女子のサッカーと男子の違いを例えれば、ビリヤードの玉と卓球の玉の違いであります。
もちろん女子は、ビリヤードの方ですが、この傾向はテニスにおいても顕著なんであります。
今年ウィンブルドン女子優勝のクビトバのストロークを見れば、男子のそれとほとんど変わらない。決勝戦の相手のシャラポアの「大女」がラケットを野球のバットのように振るスタイルとも、エナンのようなシャープな(古い男子のスタイルの)テニスとも違う、まさに男子のテニスを見ているような気になるのであります。
このスタイルのメリットは「安定」であります。
スピードに対してボールコントロールがきき、つまらないミスをしなくなるから、ゲームを見てても面白い。こう言うゲームの勝ち方を、真の「勝利」と言うんであります。
そして、こちらはまったく分野の違う「勝利」。
まだ不起訴が決定したわけではありませんが、ストロスカーンの逆転「勝利」は決まったも同然なんであります。【ニューヨーク=黒沢潤】国際通貨基金(IMF)前専務理事でフランス出身のストロスカーン被告の性的暴行事件で、ニューヨーク州の裁判所は1日午前、被告の自宅軟禁を解除するとともに、保釈保証金(600万ドル)の返還を決定した。同日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、検察当局が被害女性の供述に疑念を抱いていると伝えていた。最終的に訴追が取り下げられる可能性もある。
今回の事件はIMFを大きく揺さぶっただけでなく、前専務理事が来年のフランス大統領選で野党・社会党の本命候補とみられていただけに、訴追取り下げとなれば、米検察当局にとっては大打撃となる。社会党内では来年の大統領選への前専務理事の出馬を期待する声も上がり始めたという。
同紙によれば、女性はニューヨークの高級ホテルでの事件後、薬物犯罪で逮捕されていた男に電話し、前専務理事を訴追した場合の利益などについて話していたという。通話は傍受、録音されていた。
女性は麻薬取引やマネーロンダリング(資金洗浄)にも関わっていた疑いが持たれており、亡命申請の内容にも事実と異なる部分があったという。
(IMF前専務理事の自宅軟禁解除 訴追断念も 性的暴行事件)
誰に対してかって言えば、間違いなく「サルコジの陰謀」に対してであります。ロシア、フランスに共通するこの体質は、昔も今も不変であります。
昔であれば、こういったことが闇から闇へ忘れ去られていったものが、今はいつまでもネットに記録されていく。へたなことをすれば、たちまち自分にかえってきて、政敵の逆転「勝利」におおいなる貢献をしてしまうのであります。努々「オウンゴール」になりませんように、気をつけなければいけないのであります。クリアストリーム疑惑で、政敵サルコジ(当時は内相)を追い落とすため虚偽告発をしたとして裁判にかけられていたドビルパン元首相が、無罪判決の翌日、テレビ討論ではっきりとサルコジ大統領に宣戦を布告した。
木曜日の判決後、サルコジ大統領は、「控訴はしない、この件は終わり」とコメントしたが、金曜朝、検察は控訴を発表した。ドビルパン元首相は、「これは検察の決定ではない。大統領府の高官から、検察官が大統領府に呼ばれ、控訴するよう命令された、と聞いている」、と爆弾発言をし、サルコジ大統領を 「二枚舌のうそつき」と非難した。ドビルパンのシンパも「サルコジはあと1年、ドビルパンを(法廷に)縛り付けておきたいのだろう」と憤慨し、2012年の大統領選に向けて、ドビルパン擁立の姿勢を深めている。これに対して大統領府は「ドビルパンのウソ告発には反応したくない」と応戦し、状況は泥沼化している。
2人とも保守与党UMPに属しているが、党はすでにサルコジ派、ドビルパン派に分裂しており、ドビルパンが2012年の大統領選に打って出るならば、新党を結成することになるだろう、という観測もある。
フランス人の友人によると、党内での大統領候補選出戦では、有力な競合に対して何らかの告発、裁判沙汰が引き起こされ、対立候補が淘汰されるのが常だという。今回は両方とも弁がたち、しぶといので、行方が注目される。
UMP議員の一人は、この対決を「ヴェルダンの決戦だ。双方とも2年間塹壕に留まって戦うことになる」と表現した。第一次大戦の独仏消耗戦ヴェルダンのようになってしまったら、経済政策、失業対策などはどうなってしまうのだろう。
(サルコジxドビルパン、ヴェルダンの決戦)
と、最後は、本命の「勝利」であります。
ついさきほど終わったウィンブルドン男子決勝。ジョコビッチが6-4、6-1、1-6、6-3でナダルを下して初優勝。
このお話は、先月の全仏での展開でありましたが、この全英、フェデラーが準々決勝でツォンガに負けなければ、全仏とまったく同じ組み合わせの準決勝、決勝になっていたのであります。これを見れば、なぜナダルが優勝したかが、一目瞭然なんであります。ナダルにとって決勝でジョコビッチにあたらないようになること、すなわち準決勝でジョコビッチがフェデラーに敗退することが絶対条件であったわけであります。そして案の定、フェデラーに負けた。
(全仏に学ぶ勝負の勝ち方あるいは「相性」の本質とは)
しかし、フェデラーがツォンガに敗れたために(この理由はまた別の機会に書きますが)、ジョコビッチが決勝に勝ち残って、そして大方の予想通りナダルに「勝利」したのであります。
まさにKAIの「予測」の「勝利」なんであります。
なんでこうなるのかは、前回書いた通りではありますが、ものごとの「大気の流れ」を見ていれば、これは自然に見えてくることなんであります。
いまこの「勝利」をきっかけにするしか、方法がない。そう言うことなんであります。 KAI