中国、恐るるに足らずや週末テニス

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21世紀初頭、世界の政治及び経済にもっとも影響力を保持している国と言えば、いまや米国ではなく中国であると、恐らく大半の人が信じ始めていると思うのでありますが、果たしてそれは真実と言えるのでありましょうか。

この問題を理解するために、格好の記事があるのであります。

 さて重みを増す米中関係では「中国は米国債の最大保有国だから米国の弱みを握り、米国は中国に頭が上がらない」という診断がよく語られる。日本側でも、一般になんとなく受け入れられた認識だといえよう。だがこの認識を的外れだと断じる見解がワシントンでこのほど公表された。

 中国は今年7月の時点で香港を合わせて合計9820億ドルの米国債を保有した。この額は各国当局の米国債保有でも最大で、外国機関が保有する米国債全体の約25%、すべての米国債保有のうちでも12%となる。この巨額の中国マネーは米側の財政赤字を埋め、インフレ抑制にも寄与するわけだ。
(中略)
 中国の温家宝首相は「中国は米国に巨額の資金を貸している。私たちは米国が信用を保ち、中国の資産の安全を保障することを求める」と述べた。

 国家ファンド「中国投資有限責任公司」(CIC)の高西慶社長は「米国の経済は中国など諸外国からの支援の上に成り立っている。とくに資金の支援を供する国には叩頭(こうとう)とはいわないが丁重に対するべきだ」と語った。いずれも中国が米国債保有により米国の上位に立つのだというメッセージだった。

 だがそんな力関係は虚構だとする主張が米国議会政策諮問機関の「米中経済安保調査委員会」から打ち出された。11月中旬に発表された同委員会の2010年度報告の「中国の米国債保有の意味」についての章の記述だった。同委員会調査に協力した専門家多数の見解の集大成である。以下がその骨子だった。

 ▽中国の米国債の大量保有は米国への善意でも影響力増大のためでもなく、対米貿易黒字からのドル資金を自国内の資本取引規制で一気に集積し、人民元の通貨レートを低く抑える効果を発揮させて、輸出をさらに拡大する一方、ドル資金の多くを米国債購入で安全なドル表示資産として保つ−という自国の経済戦略を動機としている。

 ▽中国が米国債を大量に売れば経済の高度成長、輸出大幅増加の継続、自国内の工場や生産機器への投資の拡大というこれまでの経済戦略の基本が変わり、人民元レートも高くなる。

 ▽中国の米国債大量売りはドルの価値を下げ、中国のドル表示資産全体の価値の大幅下落をもたらす。ドルの10%値下げは中国のドル資産全体に1500億ドルの損失を生むと推定され、中国自身が巨大な被害を受ける。

 ▽中国がドル資産を売れば、他の外貨への切り替えが必要になるが、ユーロも日本円も中国が従来、米国債に投入してきた水準の資金の受け入れに十分な規模も条件も有していない。現在、全世界の通貨取引の85%を占める基軸通貨としてのドルの比重はあまりにも大きい。

 こうした理由から同報告は「米国は中国の米国債大量保有を圧力や武器として恐れる必要はない」という結論を出す。中国政府の代表たちがときおり米国債の大量売却や購入停止を脅しのように提起することは空疎だとも断じるのだ。米中関係の重要な側面への注視すべき考察だといえよう。
【緯度経度】ワシントン・古森義久 中国の米国債保有で新考察

よくよく考えれば、これは当たり前のことなんであります。

ドル資金とは言え、中国全体の資金を考えれば、いま現在、巨額の中国マネーが米国に流れ込んでいるわけで、米国債売却となればそれはそのまま中国国内への巨額の資金還流を意味しており、これが中国国内のあふれかえる資金によるインフレ圧力となって、経済破綻の引き金になるのはまず間違いないのであります。

クラッシュするのは、米国ではなく、当の中国自身なんであります。

と、ここまで書いて下書きのままにしていたら、これまたグッドタイミングな記事であります。

 中国では今、食料品を中心に物価の急速な上昇が深刻な問題となっている。最新統計資料によると、今年10月における野菜価格は前年同期比で31%増、果物価格は17.7%増、11月の住民消費価格指数は5.1%増と、いずれも25カ月ぶりの「高水準」を記録しているという。

 インフレの高進がそれほど深刻なのはなぜか。最近、中国人民銀行(中央銀行)の元副総裁で、現在全国人民代表大会財政経済委員会の呉暁霊副主任の口から実に興味深い発言があった。彼女いわく、「過去30年間、われわれはマネーサプライ(通貨供給量)を急増させることで経済の急速な発展を推し進めてきた」という。

 実はこの発言こそ、中国が直面しているインフレ問題の根本的原因と、今までの中国経済成長の「秘訣(ひけつ)」の両方を明かしている。

 そう、中国は今までの30年間、まさに「通貨の過剰供給」、すなわち札の乱発によって「経済の急速な発展」を無理やりに維持してきた。そして、無理したツケは、今のインフレ問題となって回ってきているわけである。
【石平のChina Watch】空虚マネー…中国、水増し経済成長の悲惨な行く末

なるほど、巨額の中国マネーは、国内ではすでに深刻なインフレ問題を引き起こしているわけであります。こんな状態での米国債売却による巨額資金の還流は、まさに火に油を注ぐのと一緒、できるわけがないのであります。

中国のあらゆる問題のアキレス腱がインフレ問題であると理解すれば、中国が何を考えて国際的な対応を行っているか、透けて見えてくるのであります。強欲で強面の覇権外交を推し進める一方で、北朝鮮を甘やかすのも、金親子の暴発がそのまま自分たちの経済クラッシュとその結果としての政権崩壊に直結しているからであります。

それは、ぎりぎりの厳しい経済運営を迫られる中、米国の協力なくしてもはや中国経済は立ち行かなくなっている証左であり、北朝鮮に加担してこの米国を敵に回すわけにはいかないと言うことであります。

なるほどと、納得の嵐の中の、週末テニス。

引き続き、気の流れは順調。やっとこれは本物かもしれないけれど、7年ぶりはあまりにも長すぎるのであります。

土曜、4-6、4-6、0-2と、中身が濃くて面白いゲームの連続なれど、決定力に欠けるのは明らかにパワー不足。課題は尽きないのであります。

日曜。早朝北葛西に引っ越した娘のところに自転車を届ける。休日の早朝とは言え五反田から高速で20分もかからない。高速とはこうでなくっちゃ。

気分良く、テニスの結果も、6-2、1-6、7-5、1-2の2勝2敗。第3セット、タイブレークに持ち込ませなかったのが大きい。

あらゆる勝負事には、決め手となるポイントが常にある。これを決して見逃さないこと。そしてこれを、全力で取りに行くこと。これが無意識にできるようになるまで、決してあきらめないこと。これが少し実感できるようになりだしたことが、ありがたい。 KAI