Webアプリケーション全盛とはいえ、ネットワークアプリケーションの稼働環境が多様化している。
iPhoneやiPadにAndroid向けが加わって、ダウンロード型のアプリケーションが再び勢いを取り戻しつつある。一方で、デスクトップの仮想化で従来型アプリケーションをネットワークで利用するのも、堅調に伸びる傾向にある。
要するに、世の中、これは騒がれないだけで、そこらじゅうがアプリケーションの開発だらけで、いまやアプリケーション抜きには一ににも二ににもビジネスが始まらない時代に突入してしまっている証左なのであります。
こうしたネットアプリ全盛時代にあって、実は、今のツィッター興隆には、まったくもって必然性があるのであります。
それは、アプリと人間との間のコミュニケーションの問題であります。具体的にはインターネットにおける従来からのコミュニケーションが、基本的にすべてPULL型で成り立っていると言うことであり、フィードに代表されるように、ユーザーから取りに行かない限りコミュニケーションが成立しないのであります。
この状況を決定的に変えつつあるのが、ツィッター。ツィッターは、PULL型であると同時にPUSH型になっており、このPUSH型について動画のストリーミング的要素に加えて、あたかも神経系のスパークネットワークを連想させるフォロワーの連鎖による放射状コミュニケーションを実現しているのであります。この「アイデア」は、初期のブログにおいて逆リンクを実現したトラックバックの概念と一緒で、誰かがアイデアを現実のものにした瞬間から、たちまちみな真似をして普及していくのであります。
さて、これからが今回のお話の本題。
いままでKAIは、さんざん「自己組織化アプリケーション」をテーマにソフトウェアについて論じてきましたが、今回の話題は実は「自己組織化アプリケーション」そのものの問題なんであります。
すなわち、「自己組織化アプリケーション」とは簡単に言ってしまえば、人間とアプリケーションの関係において、人間もソフトウェアと考え、直接的にアプリケーションとインターフェイスできるように人間と言うソフトウェアが変化していくと同時に、人間もまた自身のインターフェイスに合うようにアプリケーションを漸次的に変えていくと言うことであります。
初期のころこれを担ったのが、アプリケーションのユーザー兼プログラマ。このプログラマがアプリケーションのユーザーとなることで自己組織化アプリケーションのサイクルの中に組み込まれていったのであります。いまのWeb系アプリケーションのプログラマの大半も、この流れの中にあると言えるのであります。
そして、この大きな流れの中に新たなる潮流が加わろうとしているのが、ツイッターユーザー。こちらは、アプリケーションによって自身の人間と言うソフトウェアを大きく変え始めた人々であります。
もちろん、過去の例えばEXCELユーザーのような人間側からの一方的操作(PULL型)に依存するアプリケーションでは、決してこれは起こりえない潮流なのであります。
これがツィッターでは、起こった。そのわけが、冒頭のツィッターが、PULL型とPUSH型をセットでサポートしたことによるのであります。この仕掛けで、ツィッターユーザーは、アプリケーションとアプリケーションの結節点(ノード)となるもう一つのアプリケーションとして機能し始めたのであります。
しかし、このお話をする当の本人は、このノードに身をおくことは、どうにもこうにも気持ちが悪い。感性的に、身体が受け付けないのであります。
ちょうど1年前に記述した流れに、変わりはないのであります。ただ、KAIは、これが無性に気持ちが悪い。自己の過去と言う身体が無意味に解体され、細分化されていくことに、どうしても耐えられない。まともな人間にとって、自己の存立基盤となる「身体」は、たった一つである必要があるのです。
だとすれば、唯一の可能性は、「つぶやく」者たちには「スライス」可能なもう一つの身体があるとしか考えられません。これはまさにネット空間における、2チャンの「匿名」に継ぐ第3の自己、「実名」と「匿名」両方の性質を兼ね備えた、言わば「量子化した自己」であります。
なるほど、Twitterで何が起きているのか。それは身体の量子化と言う、凄まじい変化です。人は、果たしてこの環境にいかなる適応をし生存していくのでしょうか。他人事ながらまことに興味深い問題であります。 KAI
(逆進する技術、逆行する身体)
それにしても、なんかいい方法はないもんか。
そこで考え付いたのが、メール。実は、メールこそPUSH型アプリケーションの元祖なんであります。このメール、考えれば考えるほど、強大なポテンシャルがあるんであります。これに気づき始めた人もちらほら出てきた。
私たちも、この問題に着目して、満を持して新たなるアプリケーションを開発しいよいよ活動を開始したのであります。
このキャンペーンの中身とその意味することについて、長くなりましたので、次回、あらためてご説明するのであります。
と言うことで、週末テニスは結果だけ。
土曜、5-7、0-6、2-4。日曜、2-6、7-6(7-3)、3-2。 KAI