選手経験がないだの、イタリアではもはやどこも招聘するチームはないだの、岡ちゃんの時もそうだけど、なんでマスコミに出たがるやつはこうもあほうなんでしょうか。
これは、韓国戦を前にザック監督が語った言葉であります。「韓国にどうすれば勝てるかではなく、自分がどれだけ成長しているかが問題なのだ」
この言葉は、そのまま選手の胸に響くのであります。選手もインタビューに答えて、「自分たちがいかに成長しているかが大事なんです」と、ザックの言葉をそのまま繰り返す。こんな短期間に、ザックは選手たちの胸に目標とするところをしっかと浸透させてしまったのであります。
これができるまでに岡ちゃんは、随分苦労をし、時間もかかったのに、であります。
それを実現したキーワードが、「成長」。岡田ジャパンの「ワールドカップ4強入り」と言う目標に較べて具体性に欠けると、これまた批判的なコメントが聞こえてきますが、まったくもってそうではないのであります。
「ワールドカップ4強入り」は、確かにより具体的ではあるけれど、では一人一人の選手にとっていま何をしなければいけないのか。目標があまりに遠すぎて、これがさっぱり見えてこないのであります。
この意味において、「成長」は、一人一人の選手にとっては、きわめてより具体的であります。どの選手にとっても、昨日の自分より今日の自分の「成長」と言うかたちで、努力した結果を実感することができるし、反省し明日の「成長」に繋げることもできるのであります。
ザックをしてイタリアの料理人と呼ぶ人がいますが、まことに的を射た言葉であります。
オシムが典型ですが、おおかたの料理人は最初から自分の得意な料理と言うものがあって、作る料理が決まっている。ザックはこれがまったく違う。まず食材である選手一人一人を観察する。その上で、食材をそのまま食べてどう言う味がするのか確認するように、プレーする選手の中に一緒に入って、目の前で選手のプレーを確認する。
その上で、これらの食材を組み合わせて、どんな味の料理を作ることができるか考えるのであります。
岡ちゃん風にすでにアレンジされた和食の味を確かめながら、さて中華にするかイタリアン、フレンチ、はたまたこのまま和食のままにするのか、自在なのであります。
スポーツの本質を理解した人間にとって、スポーツとは、かように奥が深いのであります。
そして、こちらも奥の深い深い週末テニス。
土曜、午前中一杯雨の天気予報を予知能力のフォースでおしのけた結果は、4-6、6-4、4-4。日曜、7-6(7-4)、2-6、1-1。
接戦になればなるほど、ゲームは面白い。毎週毎週、意図せざる無意識の世界で、この料理ができあがる。毎日の食事と一緒。飽きることは、ないのであります。合掌。 KAI