Webアプリケーション時代の本質とは

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昨日のお話(証券ディーラーの悲哀と悲鳴がこだまするのち週末テニス)について、考えれば考えるほど、実はこれは大変な状況になるのではないかと、痛く危惧するのであります。

昨日は、Webサービス、すなわちWebAPIと言われるインターフェイスを公開するアプリケーションに限定した問題であるかのように記述したのでありますが、これはまったくもってWebサービスに限った話ではないのであります。

すなわち、HTMLと言う言語で記述されたアプリケーション、いわゆるWebアプリケーションでありさえすれば、別にWebAPIが公開されていなくてもまったく関係なく、レンダリング(画面描画)機能のないブラウザを使って、あらかじめ作成したシナリオ(メタプログラミング)を動作させるメタアプリケーションによって、人間がWebアプリを操作するのと同じイメージで、しかも人間が操作する何万倍ものスピードでWebアプリケーションを操れるようになるのであります。

東証のシステムについて言えば、プログラム取引と言うこの何万倍ものスピードでユーザー側の(コンピュータによる)操作ができる仕掛け自体はすでに何年も前からサポートされていたのに、今回アローヘッドと言う東証システムの改善に起因して、なぜいまこれが問題となったのでしょうか。

それは、いままでいくらユーザー側の(コンピュータによる)操作スピードが向上したと言っても、これに反応する東証システムが、実際に人間が操作した場合と大差ないものであったからに他ならないからであります。

これが、突然一気に何百倍もの反応速度を獲得して、人間がキーボードに触れるか触れないかのうちに、何百と言うプログラム取引が完了する。これに一人の人間であるディーラーがかなうはずがないのであります。

この問題は、例えば希少価値の高いチケット予約の場面では、もはや素人の人間が出る幕は皆無となる事態さえ想定されるのであります。

あるいは、こういったネガティブな話だけではありません。教育や福祉、介護といった場面で、目的のカリキュラムやサービスを常時監視し見つけてくれるメタアプリケーション機能自体を主たる目的としたWebアプリも、簡単に開発可能であり、そう言う施設への入居待ちやサービス待ちに空きができたときに一番に申し込み手続きをしてくれるのであります。

世の中のサービスと言われるものが、Webアプリ化された瞬間から、このサービスを利用する側のニーズに応えるメタアプリケーションと言うジャンルが一挙に花ひらき拡大していくのであります。この具体的な実態がいかなるものになっていくかは、想像の域を遥かに超えるものになることだけは、確実に言明することができるのであります。

アプリケーションを、メタアプリケーションが操作する時代。これこそが、KAIの言ってきた「高度化アプリケーション」の時代そのものに他ならないのであります。

証券ディーラーの大量解雇は、良い意味でも悪い意味でも、この時代の到来を予見する歴史に残る重大事件であると言えるのであります。 KAI