きわめて興味深い状況がレポートされている。
いままでのような、駅の改札口の自動化やETC導入による人員削減とこれは訳が違う。株式売買の注文を1秒の1千分の1のミリ秒単位で処理する超高速化が、東京・日本橋兜町に“異変”をもたらしている。東京証券取引所が2ミリ秒で処理する新システム「アローヘッド」を1月に導入した影響で、誤発注や証券ディーラーの解雇が続出。証券最大手の野村ホールディングスグループが7月末に0・5ミリ秒の私設取引システム(PTS)を開設し対抗するなど、スピード競争も激化してきた。
■数秒で暴落
先月8日午後12時半ごろ、東京株式市場で関係者が注目する不可解な取引が立て続けに起きた。
2200円だったオリンパス株の取引が数秒の間に立て続けに成立し、一気に90円も急落。続いて住友金属鉱山が同様に1122円から59円値下がりした。いずれも急落直後に大あわてで買い戻され、今度は急上昇したという。
従来の誤発注は、間違って安値で売り注文を出してしまい、その値段で取引が成立して一気に株価が下がる。しかし、今回は次々に取引が成立し株価が切り下がっていったという。
「高速売買についていけなかった証券会社が、取り消しもできずに誤発注の売買を成立させてしまったのでは」。市場関係者は、こう解説する。
■500人解雇?
証券会社の自己資金で売買をする“兜町の花形”であるディーラーの姿もめっきり減ってきたという。中小証券が相次いで解雇に走り、「すでに300〜500人が整理された」ともいわれている。
(【ドラマ・企業攻防】誤発注・解雇・野村参戦…株式ミリ秒売買で兜町に“異変” (1/3ページ))コンピューターを駆使して株価や出来高などに応じて高速で自動売買を繰り返す「アルゴリズム取引」が、アローヘッド導入で活発化。大手証券会社や機関投資家が荒稼ぎする一方、同取引に対応したシステムを持つ余裕がない中小証券のディーラーは、注文を入力する前に先を越され、稼ぎが激減しているという。
「やり手のディーラーでもコンピューターにはかなわない。開店休業の状態」。ある中堅証券は、ディーラーを解雇せざるを得ない窮状を訴える。
(同(2/3ページ))
証券ディーラーと言えば、きわめて高度なスキルを要求される知的労働者。そんな彼らがいとも簡単にお払い箱になる。
いよいよ、時代が大きく変わる。つまりはそう言うことであります。
コンピュータは、その誕生以来わずかな期間に、人間の役割を根本的に変えてきた。それは、常に脳を含めたハードウェアとしての役割からよりソフトウェアとしての役割へのシフトであります。
しかしそのソフトウェアさえ、メタプログラミングによって置き換えられようとしている。これこそが、証券ディーラーの大量解雇なのであります。
つまりこれから起きることがなにか、もう少し分かりやすく言えば、世の中のありとあらゆる仕事がコンピュータを操作してできる時代になればなるほど、別に人間が操作しなくてもいいんじゃない、コンピュータにやらせればって時代になっていくってことであります。
だって、コンピュータをコンピュータが操作するほうが絶対に速いし正確なのは、最初から自明なこと。とうとう人間は、Webサービスによって、この魔宮の扉を開いてしまったのであります。
オンラインでの教育しかり、オンラインゲームを思い通り操作するアプリなんて、なんでもありの時代になっていくのであります。
こんな時代に生きる、人が果たすべき役割とは何か。これこそがきわめて重要なテーマとなっていくのであります。
そんな近未来に思いを馳せる、週末テニス。
そんな未来だからこそ、身体が勝負。炎熱に堪える精神とは何か。なんでこんな暑い中で、ひたすらゲームを続けるのか。すべてのリアルとは、この肉体の中にしかないからであります。コンピュータの世界の中に入れば入るほど、肉体を酷使して初めて、ありとあらゆるすべてがリアルになる。土曜、4-6、6-4、2-3、日曜、1-6、7-6(7-2)、0-4。意識が朦朧とし始めた第2セットのタイブレーク。それでもなお、あきらめないで、これを7-2でゲットして、すべては終わった。これでいいのだ。戦いとはこう言うもんなんだ。
身体のルールを、身体が覚える。頭ではなく、身体が理解して初めて、メタプログラミングも、メタアプリも、これを使いこなすことができるようになる。あたかも人類初めての飛行機の操縦と同じ。実際に飛んで見なければ覚えない。これを覚えて乗りこなせるようになるには、理屈ではなく動物的勘と超人的体力以外にはなかったはずであります。 KAI