予測は楽し(3)

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KAIは4日前にこう書きました。

小沢が描いたシナリオはこうです。

1日の三者会談の後、自室に戻った小沢は一番に菅に電話したのであります。

あなたを後継総理にする。ついては、小沢傀儡政権と言われないようにするために、徹底して小沢外しをやること。こちらもあなたを支持すると疑われるので、形だけの対抗馬を立てるが心配しなくてよい。

これで誰が総理をやろうが、幹事長になろうが、小沢としては、来る選挙に勝ちさえすればどうとでもなるのであります。
「デッドロック」外れる(2)
これが、今朝の産経新聞にはこう書かれている。

 早くも永田町内外の“小沢信者”の間では、「民主党の支持率が急上昇したのは、小沢氏が仕掛けた壮大な仕掛けのおかげだ」といった新たな「小沢神話」が語られ始めている。鳩山氏が「小沢解任」を明言した両院議員総会でのスピーチも、菅政権が「脱小沢」色を鮮明にしているのも“小沢シナリオ”に沿ったもの、というわけだ。

 残念ながら新たな神話は真実ではない。小紙の取材では、「小沢解任」は鳩山氏が主導しており、小沢氏は本気で田中真紀子元外相を代表選に担ぎ出そうとして失敗した。小沢氏は政局の流れを完全に読み違えたのである。
「小沢神話」の呪縛を解け 政治部長・乾正人

残念ながら、この記事も「真実」ではない。

「小沢解任」は、鳩山主導でもなんでもない。もちろん“小沢信者”が期待するような小沢の「壮大な仕掛け」があったかと言えば、最初からこれは微塵もなかったのであります。

これは、別に鳩山や小沢の決断の結果ではまったくないのであります。単に、世論によって「強制終了」させられただけであります。
「デッドロック」外れる

小沢も鳩山も、「強制終了」と言うかたちで、ただ辞任に追い込まれただけなのであります。当初、鳩山に辞任をせまった小沢の心中がいかなるものであったにせよ、端から鳩山単独辞任などあり得ない選択肢であったわけであります。

いざ自分も辞任せざるを得ないとなって、狡猾小沢、描いたシナリオが、冒頭の引用。

田中真紀子に声をかけて、本気で彼女が応じるはずがない。普通はそう考えて、もしやるにしても表に出ないようにやる。それが真紀子の談話までテレビに露出するのは、「形だけの対抗馬」みえみえなのであります。

実は、菅直人にとっても、この小沢の描いたシナリオは絶好の「渡りに舟」。

菅が、この「小沢シナリオ」に、まだ見ぬ「後半」があることに気づかないはずはありません。すなわち、菅首相でも参院選は苦戦する。その結果を受けての9月民主党代表選での小沢返り咲きであります。

当然これを阻止するために選挙で「大勝」する必要がある。菅にとってはそのための「小沢外し」でありましたが、まさかここまで効果があるとは、予想外であったはずです。当然小沢にとっても、傀儡「隠蔽」目的だったとは言え、予想外の支持率に、苦笑せざるを得ないのであります。

そして次なる関門、郵政再国有化法案の行方であります。当然これも廃案にする。しかし亀井がそれを許さない。さてどうするかであります。

たとえ延長国会でも強行採決では選挙に勝てなくなると言って、延長もやらない。これに亀井も社民同様政権離脱かと言えば、さにあらず。選挙後の法案再提出を約束させて、残留するのに精一杯なのであります。

しかし、民主党は参議院単独過半数をゲットするから、この約束もやがてうやむやになる運命なのであります。

さて、肝心要の「経済政策」。

 「強い経済、財政、社会保障を一体として実現する」。菅直人首相が8日の会見でこう述べた新内閣の経済・財政運営は、予算を家計や社会保障の充実、環境分野などの市場に振り向け、内需を拡大する「第三の道」を選ぶ。
(引用者注:「家計や社会保障の充実、環境分野などの市場」とあるのは産経新聞紙面上は「医療や環境分野など成長市場」と表記)
「第三の道」は増税路線? 菅政権の経済政策にエコノミストらが警戒感

この「内需拡大」が、「需給ギャップ」で言うところの「需要」の拡大と、大いなる「菅」違いならぬ勘違いをしていることは、前回書いたとおりであります。

それでも、この記事の通り「予算を家計や社会保障の充実、環境分野などの市場に振り向け」ば、ひょっとしてこれは「需給ギャップ」の「需要」拡大に繋がるかもしれないと、信じてしまう人がいるかもしれません。

そうはならないことを、ここでご説明するのであります。

すなわち、いまやるべき「経済政策」とは、この「現実」の「生産効率」をいかに「理想」の「生産効率」にもっていくかであります。
予測は楽し週末テニス(2)

こう書いたとおり、今求められている「経済政策」とは「生産効率」と言う「効率」や「生産性」をいかに上げるかがテーマである、「効率」問題であるわけであります。

この「効率」問題にそぐわない分野の典型が、「教育」、「医療」、「介護」といった分野であり、「環境」もはたして「効率」問題の対象となるかはきわめて疑わしいと言わざるを得ません。これは当たり前と言えば当たり前の話で、例えば「医療」を充実させようとすればするほどコストは嵩み、「効率」は落ちていく。

ですから、これらの分野は、何があっても決して「効率」問題の対象にしてはいけないのであります。(これはウチダ先生の言う「贈与経済問題」ですが、KAIの考えはまた別の機会にここに書きます)

にもかかわらず、長期となった菅政権。人の忠告を無視して、不遇の「経済政策」にひた走る。結果、日本経済を取り返しのつかないところまでもって行く。

そうです、東京都の財政を破綻寸前までもっていった美濃部亮吉の再来なのであります。そして二人は、市川房枝で、見事なまでに繋がっている。

なんとも空恐ろしい、未来予測なのであります。 KAI