いままでいくどか招待を受けながら、ついぞ訪れることのなかったミクシィ。どうやら、見えない大きな壁に突き当たっているようであります。
ミクシィは株式市場的に“終わった”のか−−一部の市場関係者の間で、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)運営最大手企業の業績動向が話題となっている。株価は5月13日、12日取引終了後の2010年3月期決算発表を受けて急落し、2010年6月以来の50万円割れとなった。その後も続落基調が続き、連日で安値を更新している。
2011年3月期業績計画は、連結売上高が前期比27.6%増の173億5000万円、営業利益は同0.6%増の27億7000万円、経常利益は同3.2%増の27億6000万円、純利益は同6.2%増の13億9000万円。売上高こそ高い伸びを計画するものの、期待された利益の急回復は株式市場の期待を大きく裏切る鈍さとなった。「mixiアプリ」投入によって成長力を取り戻すと期待されていただけに、投資家の失望感は多大。広告の伸びが鈍化し、開発費など先行投資負担が利益を圧迫する構図は結局、2010年3月期と同様だ。
(成長力の鈍さから厳しい評価を受けるミクシィ--新サービス構想も市場に響かず)
なぜこんなことになってしまったのか。そのわけは、すでにここで解説済みなのであります。
これを読んでいただければ、グリーの山岸くんの存在が、グリーの急成長と高収益構造を支えていると言う事実が、きわめてクリアにご納得いただけるのであります。
ひるがえって、ミクシィ。ミクシィには、山岸くんに相当する人材がいなかった。
ただそれだけなのであります。
さて、ではどうするか。
これを考える上で、任天堂の宮本茂、この人物の存在こぞ、これからのSNSの世界を占う上できわめて大きなヒントを与えてくれるのであります。
山内溥と親父繋がりと言うことこそ、今回のキーポイントなのであります。1977年に金沢美術工芸大学を卒業。専攻は工業デザインだった。同年、小さい頃から玩具に興味を持っていたため、当時トランプを柱とし色々とやっていた玩具会社の任天堂に興味を持つ。デザイナー枠で任天堂は募集していなかったが、宮本の父は当時の任天堂社長山内溥と友人だったこともあり、面接の場を得て工業デザイナーとして入社する。
(宮本茂、Wikipedia)
SNSとは、いったいなんであるのか。「人間関係」以外の何ものでもないのであります。
SNSを運営する会社に必要なことは、この「人間関係」とはいったいなんであるのか、この本質を理解する人間がいるかどうかであります。
任天堂で言えば山内溥が言い続けたように、所詮「花札屋」にすぎないことを決して忘れてはいけないのであり、これを宮本は、外さなかっただけであります。
え?任天堂はSNSじゃない?
いえいえ、みなさん、トランプ、花札、一人でやりますか?
たまたま手段がゲームであっただけで、この会社の本質は「人間関係」、すなわちSNSであるのであります。
「人間関係」の手段が「ゲーム」であるのか、YouTubeの「動画」であるのか、Facebookの「寮の部屋」?!であるのか、この基本的な認識なくして、SNSは成り立たないのであります。
まさにFacebookとは、創業者マーク・ザッカーバーグの、ハーバード大学生活「寮の部屋」そのものなのであります。この「寮の部屋」こそ、マークくんが「人間関係」をどのように考えているかと言う象徴的存在なのであります。最近、Facebookの使い方が分からないという声を(主にTwitterで)耳にするので使い方を簡単にまとめてみる。私自身別にヘビーユーザーではないので、正しい(?)使い方かどうかは知らないがとりあえずはこんな感じでどうぞという程度にとって頂きたい。
寮の部屋
日本人が最初にFacebookを見たときによく分からないのがWallというものだ。壁って何だよという感じだ。単にメッセージ送るのと何が違うのか。これは寮の部屋の扉だと思えばいい。寮の扉にホワイトボードをぶら下げたり、紙を貼ったりするのは一般的だ。
(Facebookの使い方)
これに対するミクシィ、笠原社長の考えるミクシィは、間違いなく「掲示板」。別に「掲示板」が良い悪いと言っているのではない。あくまで「掲示板」と言う原点を忘れてはいけないと言うことであります。山内溥の「花札屋」であります。
そして、つまりは、笠原社長の考える「人間関係」とは「掲示板」であると言えるのであります。
さて、ここからが本題であります。
ミクシィは、これからなにをやるべきなのか。
それは「人間関係」の「付加価値」を高める以外にはないのであります。
任天堂の宮本茂、グリーの山岸広太郎、Facebookのマーク・ザッカーバーグ、みんなそろって、やってることは同じなのであります。
いかにすれば、より一層のすばらしい「人間関係」を築くことができるのか。そのための機能(アプリケーション)提供であり、結果としての機能単価売上となるのであります。これはしかし、別に機能単価モデルである必要はさらさらない。
もともとSNSは、情報単価モデルである広告売上がメインのビジネスモデル。Facebookにいたっては、2009年571億円の売上に対して562億円、実に98%を広告売上が占めているのであります。ただこの広告売上の中身が違う。
そうです、あのGoogleのAdSenseやAdWordsと一緒なのであります。これこそ「人間関係」向上に貢献する、間接的な機能提供に他ならないのであります。(1) セルフ広告売上 (315億円)
AdwordsやOvertureと同様,広告主は広告代理店を経由することなく,直接ウェブ上から広告出稿できる仕組みで,Facebook Adsとネーミングされている。実際に入力してみると驚くほど簡単で,入力には5分もあれば十分。広告は承認を経て約1-2日後に表示されはじめる。
(【最新版】Facebook ビジネスモデルを徹底分析 〜 mixi,GREE,モバゲーと比較)
これだけ言えば、もうミクシィが何をやらなければいけないかは、お分かりでしょう。
「掲示板」を通した「人間関係」の心地好さの追求以外にはないのであります。
Wikipediaの中の解説を読んでも、もはや決してミクシィの「掲示板」生活が心地好いものではなくなっていると言う現実に、しっかりと目を向けなければいけません。
初心に帰って、「掲示板」生活を再構築する。これに、もはや一刻の猶予もないのであります。がんばれミクシィ! KAI