ウォーレン・バフェット。世界的な著名投資家兼経営者。経済の真髄、経営の本質を知りぬいた男の言葉に、さすがのKAIも、いっぺんに目が覚めました。
目的を達成しようと思ったら、
良心に訴えかけてはいけない。
自尊心に訴えかけるのだ
(バフェットの大不況を乗り越える知恵、徳間書店、メアリー・バフェット、デビッド・クラーク、2010/3/19、p.114)
そうか、そうか、そう言うことだったのか。経済とはお金。お金の扱い方が、いままでどうしても感覚的に理解できなかった。これが、この言葉で、ものの見事に「氷解」した。
え?わからん?
そりゃそうですね。と言う方々にもう少し引用しましょう。
なるほどね、こう言う歯の浮くような科白をシラっと言えることが、肝要なんだと。アフリカの貧困撲滅を目指して活動するロックスターのボノは、何とかしてアメリカの一般大衆の支援を得たいと考え、ウォーレン・バフェットに相談を持ちかけた。
(中略)
「人々の良心に訴えかけてはいけない。自尊心に訴えかけるのだ。そうすればきっと、君の目的は達成されるはずだ」
人間の良心に訴えかけることは、遠回しに善悪観を問うことにひとしい。飢餓に苦しむ貧しいアフリカの人々を助けようとしないなんて、いったいあんたはどんな人間なんだ? このような訴えは罪の意識を刺激する。わたしたちは罪悪感をかき立ててくる相手を嫌う傾向があり、実際、そういう相手との接触を極力避けようとする。
ボノがアメリカの人々の良心に訴えかけようとすれば、聴衆の前でこんな演説をすることになるだろう。
「アフリカでは大勢の貧しい人々が飢えに苦しんでいます。世界一裕福な国に住んでいるあなたたちは、黙って彼らを見殺しにするつもりですか?」
では、このバージョンを、次のバージョンと比べてみてほしい。
「あなたたちは地球上で最も知性の高い国民です。あなたたちの国家は、あらゆる困難を克服して第二次世界大戦に勝利し、天を突き抜けて月にまで人間を送り込みました。わたしは今、とてつもなく困難な問題に直面しています。貧困と飢えに苦しみ、夢も希望も持てないアフリカの人々に、何とかして救いの手を差しのべたいのです。誰に支援を求めるべきかと考えたとき、わたしはぱっとひらめきました。世界で最も偉大な国を頼ればいいのだ。数々の難題を解決してきた人々の、不可能を可能にしてきた人々の力を借りればいいのだ、と」
(バフェットの大不況を乗り越える知恵、徳間書店、メアリー・バフェット、デビッド・クラーク、2010/3/19、p.114-115)
いえいえ、「シラっと」なんて言ってはいけません。
これこそ、「ビジネスの本質」なんです。「自尊心」と「マネー」の交換なんです。
これは、お客様との関係だけではありません。技術者である社員の人たちを含めたすべてのビジネスに関わる人々との関係において、これが成り立つ。これに気づいたことが、最大の収穫なのであります。
ともするといままで「ソフトウェアの良心」と言う形で、ソフトウェア技術者に「倫理」を求めてきたけれど、よくよく考えれば、オープンソースムーブメントを始めとした世界は、「プログラマの自尊心」に支えられている。
ビジネスの本質、ここにあり。長い長い時間がかかったけれど、ようやくわかった。ウォーレン・バフェットさん、ほんとうにありがとう。 KAI
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