男の涙と女の涙

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男の涙は、豊田章男社長。米下院公聴会のあと、ディーラーなど関係者の前で「一人ではなかった」と涙を見せた。

トヨタ社長が涙 「一人じゃなかった」公聴会後に従業員らと集会 (1)

女の涙は、浅田真央。銀メダルにも、悔し涙。

「フィギュア 真央は「銀」」

まるで対照的な、二人の涙。男の涙は、守りの涙。女の涙は、戦う涙。どちらに未来があるかは、歴然としている。

トヨタにとって、報道されている通り、これから発生するであろう訴訟に伴う費用は、天文学的金額を覚悟しなければならない。涙を流しても、何も変わらないのであります。

対する真央は、悔し涙。流すことで、失うものは何もない。これからの4年と言う時間が、彼女をいかに変えていくのか、楽しみばかりが膨らみます。

それにしても、いったいトヨタは、なにをどう間違えたのか。

それは章男社長の公聴会での証言のような、急激な拡大路線にあったかといえば、そんなことはない。そうではなく、HVを市販当初から問題は噴出していた。

今にして思えば、1997年プリウス発売直後から、プリウスの高速道路でのトラブルをネットで散見するようになりだした。しかし不思議なことに(もちろん不思議でもなんでもないんだけれど)これがメディアで話題になることは、ついぞなかった。スポンサートヨタを背景にして、この問題をだれもいままで取り上げることは、なかったのであります。

高速道路で、突然車が動かなくなる。ロードサービスも手に負えなくて、対応できる修理工場にたどり着くまで、信じがたいほど時間がかかる。

なんとトヨタは、この問題を12年間放置してきた、いえ放置は正確ではありません。「カイゼン」することができなかったのであります。

いったい、なぜ。

そのわけは、プリウスのようなHV車が「ハードウェア」ではなく「ソフトウェア」製品であることにあります。トヨタが得意な「カイゼン」とは、「ハードウェア」の「カイゼン」であって、「ソフトウェア」の「カイゼン」ではなかったのであります。

初心者同然の「ソフトウェア」の「カイゼン」では、HVと言うアプリケーションは手に負えなかった。いまやトヨタは、これまでまったく経験したことのない異界の地に足を踏み入れてしまったのであります。

つまりは、これが、コトの真実であります。

章男社長の涙とは、この異界の地に立つ者の、「畏怖」の涙だったのであります。 KAI