ついにといおうか、やはりといおうか、Googleから究極のアプリケーションが現れた。
米Googleは5月28日、同社の開発者向けカンファレンス「Google I/O 2009」で、リアルタイムでのコミュニケーション、コラボレーションを提供するWebサービス「Google Wave」を発表した。年内に予定している一般公開に先駆けて、開発者向けにGoogle Wave APIやGoogle Wave Federation Protocolが公開された。
Google Waveは、メール、IM(インスタントメッセージング)、ドキュメント共有などを統合したリアルタイムのコミュニケーション、コラボレーションサービス。ユーザーはまずコミュニケーションの場となる「wave」を作成し、そこに参加して欲しいメンバーを加える。メンバーはリアルタイムで会話しながら、wave上のドキュメント、写真、地図、ガジェットなどを利用したり編集でき、ほかのオンラインコンテンツを追加することもできる。メンバー間のやりとりは履歴として保存される。
(リアルタイムのコンテンツ共有:Google、リアルタイムコラボレーションツール「Google Wave」を発表)
この技術的な意味については、こちらの記事が詳しい。
プロジェクトリーダーで、Google Waveの基調講演でデモンストレーションを行ったラース・ラスムセン氏は、Google Waveは「3つのP」からなると説明する。
Waveを構成する3つの「P」
1つ目のPは「プロトコル」。Waveサーバはグーグルが独自に書き起こしたHTTPサーバの一種で、SMTPを置き換え得るサーバソフトウェアだ。通常のHTTP上でWaveのプロトコルを使ってクライアントと通信する。クライアントとは基本的に小さなXMLファイルをやり取りする。
SMTPと異なるのは、サーバ同士がメッセージの送受信のたびにピア=ピアで通信を行うのではなく、ユーザー間で1つのサーバ上のWaveオブジェクトを共有するモデルとなっている点だ。この構成によって、Comet(コネクションを切らずにHTTP通信を行うテクニック)による非常に応答性の高いリアルタイムコミュニケーションが可能となる。タイプ中の文字は1文字ずつサーバに送られ、各クライアントにほとんどタイムラグなしに動的に表示される。多くのインスタント・メッセンジャーでは、相手がタイピング中であることは表示されるが、実際に相手のメッセージが届くのを待つことになる。これがWaveではタイプ中の文字がサーバからリアルタイムに送られてくる。「これは会話をとてつもなくスピードアップさせます」(ラスムセン氏)。
(Google I/O 2009レポート【詳報】Google Waveとは何なのか?)
なんとまあ、エジケンがやろうとしてきたことそのままではありませんか。
だからと言うわけじゃありませんが、あきらめないで続けていれば、一躍コミットアプリケーションのリーディングカンパニーになるチャンスが目の前にあったのに、となるわけです。ま、覆水盆に返らず。致し方ありません。
クライアントはWebブラウザ
Waveを構成する「3つのP」の2つ目は「プロダクト」。サーバソフトウェアのほかに、グーグルはHTMLベースのクライアントを公開。デモンストレーションではChrome、Firefox、Safariで同様のUIが実現している様子や、異なるPC上の異なるWebブラウザ間で、同時に文字や画像が追加されていく様子も披露した。Waveクライアントは、画像のドラッグ&ドロップによるアップロードや、ユーザーリストからアイコンをドラッグ&ドロップして会話に加えるなど動的なUI が印象的だ。ただし、デスクトップからのアイコンのドラッグ&ドロップについては、現在仕様を提案中で、この機能を利用するにはドラフトの仕様を実装したソースコードをビルドする必要があるという。また、ネットワーク接続が切れていたためにデモはうまくいかなかったが、iPhoneとAndroid端末の間でもWebブラウザベースのクライアント(HTMLページ)を使って同様のリアルタイムコミュニケーションが可能だという。
(Google I/O 2009レポート【詳報】Google Waveとは何なのか?)
このおかげであらゆる業務系のアプリケーションに、グループウェアやSNSの機能を簡単に組み込めるようになる。と言うか、ソーシャルサービス系の業務アプリケーションは、ほとんどこれで簡単に構築できるようになるのですから、これはユーザーにとっても開発側にとっても劇的な影響を及ぼすことになります。
コラボレーションプラットフォームとしてのWave
「3つのP」の3つ目は「プラットフォーム」。各Waveは構造化されており(XMLドキュメント+アノテーション)、メールやチャットのようなコミュニケーション、WikiやGoogle Docs、EtherPadのようなコラボレーションツールに似たプラットフォームとして利用できる。
(中略)
ボットを使ったWaveの拡張Waveは共同作業の強力なツールとなるという意味でもプラットフォームだが、ほかのWebサービスなどのハブとなるという意味でもプラットフォームだ。
Waveは一風変わった方法で機能拡張が行える。Twitterなどで一般化したボットをサーバで走らせ、これを各種サービスとのプロキシとして利用するという方法だ。
例えば、ブログサービスと接続する「bloggy」(ブロギー)というボットをWaveの会話に加えると(人間の参加者を加えるのと同様だ)、そのWave上の発言を、直接ブログにパブリッシュできるようになる。基調講演でラスムセン氏は、ブログサービスとbloggyを双方向に結び、にわかに信じがたいデモンストレーションを行った。
まず、Wave上で書いたテキストがブログにパブリッシュされる。そのブログを見た誰かがコメントを付ける。すると、bloggyを通してそのコメントがブロガーが見ているWave上にリアルタイムで反映されるのだ。このコメントに対してWave上でさらにブロガーが返信すると、そのコメントは1文字1文字とブログページのほうでも表示されていく、といった具合だ。
ブログが掲載されているWebページに対してリアルタイムにコメントを1文字ずつ反映するこのデモンストレーションは、ブログサービスをWave対応として実装しているからこそ可能で、今のところ一般のブログサービスではこうはなりそうもない。ただ、MovableTypeやWordPressでWaveプラグインが登場する可能性は十分にある。もしも、ブログや掲示板、メディア、SNS、企業のカスタマーサービスページなどで次々とWaveクライアント対応が進むようなことになれば、われわれは、あちこちのWebページで常に書き換えやコメント追加が発生する「リアルタイムWeb」の世界を生きるようになる可能性すらあるだろう。
(Google I/O 2009レポート【詳報】Google Waveとは何なのか?)
長い引用で申し訳ありませんが、全部引用しないと、このプラットフォームとしての機能が果たす意味、つまり何に使えるのか、よく理解できません。
これは要するに、ブログをはじめとしたWeb系のアプリケーションはすべて、リアルタイムのコミュニケーションの小窓化できると言うことでしょう。
つまり、ブログを使って、世の中のありとあらゆる出来事の、実況中継が可能になると言うことです。これの一番影響を受けるのは、ジャーナリズムの世界。
例えばプロ野球の現場から、ファンが実況中継も可能になると言うことです。まさかパソコン持込禁止にするわけにもいきませんから、ファンによる実況中継のコラボレーションも夢ではなくなります。
これが世界中の、あるときはクーデターの現場かもしれない、あるときは自然災害の現場かもしれない。エジケンの目指した、「オープンコミュニケーション」がこうやって実現に近づくことだけでも、このGoogle Waveが、クラウドコンピューティングのキラーアプリケーションとなるのは間違いありません。 KAI
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