イノベーションの経済学

  • 投稿日:
  • by

久しぶりに激しく知的興奮を覚える読み物に出会った。

池田信夫先生の「イノベーションの経済学 講義録」。いままさにこの現場の真っ只中にいるKAIにとって、一言一言すべてが染みとおるように臓腑の中に入っていく。

フランク・ナイトが1921年に書いた「危険・不確実性および利潤」という本の中で、リスクは保険でいくらでもヘッジできるが、訴訟を起こされるとか、新製品がヒットするかどうかなんて分かりっこないんだだから、経営者が自分の責任で決断するしかない。利潤というのは実は決断の報酬なんだ。損害で会社が倒産するのは経営者がバカなんだと言っている。
池田信夫「イノベーションの経済学」第7章 知識のマネジメント

利潤というのは実は決断の報酬なんだ」。創業以来、決断の連続であったKAIにとって、この言葉は、きわめて重要な意味を持ちます。それは何度も失敗と思われる決断を繰り返してきたけれど、あの決断がなければ間違いなく今生き残っていることは到底有り得なかったと言う、そう言う決断があるからです。

企業経営には、あとから考えるとこの時どうしてそう言う方法を思いついてそれを実行する決断をしたのかわからないと言う、不思議な局面に何度か遭遇するものです。
松下幸之助の言葉(30)

そしてこの意味ある決断が、なぜか不思議にすべて繋がっていく。しかしそれらは、いくつかある選択肢の一つを選ぶような贅沢なものとは程遠い、それしか思いつかないことの連続にすぎません。

その報酬としての利潤も、決して人に誇れるほどのものに達してはいませんが、これも生き延びてきたからこそのものです。

成功に、遅いも早いもない。あるのは成功で終わることである、と思う。 KAI