こりゃダメだわ。
麻生さんの郵政問題発言。この時期にこう言うタイミングでこんな言葉が出てくるのは、麻生さん自身の資質の問題と言うより、天下国家を担うリーダーとしての麻生さんを支える取り巻きに問題があるとしか思えません。
ちょうど前回、尊徳の「天地人」の話をしましたが、NHKの大河ドラマも「天地人」で同じです。
どうも麻生さんの取り巻き連中の頭の中には、政局しかないようですが、いまなぜ麻生さんが総理になったのか、その「天の時」の意味を理解しないことには、何事も始まりません。にもかかわらず、今の苦境の原因を小泉竹中の構造改革路線にあるとする民主党(既得権者)のこじつけを本気にするなどと言う、彼らはまるで「天の時」の意味がわかっていないとしか言いようがありません。「天地人」という題名の由来は?
「北越軍談付録 謙信公語類」に出てくる、「輝虎(謙信)公の曰く。天の時、地の利に叶い、人の和ともに整いたる大将というは、和漢両朝上古にだも聞こえず。いわんや、末代なお有るべしとも覚えず。もっとも、この三事整うにおいては、弓矢も起こるべからず、敵対する者もなし」から採られています。「北越軍談」は、江戸時代にまとめられた越後上杉氏に関する軍記物です。分かりやすく現代語に訳すと…
「あるとき謙信公がおっしゃた。天の巡り合せが良く、地勢の有利さに恵まれ、家臣・領民がよくまとまっている、この3つがともに揃っている大将(指導者・リーダー)というものは、日本の歴史、中国の歴史、神話に近い大昔にまでさかのぼってみても、存在したという話は聞いたことがない。それどころか、未来の世の中にでさえ登場するとは思えない。もっとも、この三事(天の時・地の利・人の和)が揃っているのであれば、戦争が起こったりはしないし、その大将に敵対するような人物も現れないだろう。」
つまり、「天地人」の三拍子が揃った大将こそが、理想とすべき大将なのだ。ということでしょうか。もともとの「天地人」
これは、中国に古来から伝わる「物事を成就させるためには『天の時、地の利、人の和』の3つの要素が大切である。」という教えからきた言葉のようです。
もちろん、謙信はこの中国の教えをふまえたうえで、先の発言をしているわけです。戦国武将として、当時一流の教養を身につけていたことがうかがい知れます。
(「天地人」直江兼続やまがた情報局)
恐らく取り巻き連中は麻生さんに、今は小泉竹中との距離感が必要であるとアドバイスしてるに違いありませんが、事態はまったく逆です。
昔も今も、ずっと世の中を支配しているのは、世間の人々の「閉塞感」です。
これを、小泉竹中は、銀行や郵政と言う既得権者によるものとして明確化し、国民の間にある「閉塞感」を取り除くことに成功しました。後を継いだ安倍政権の失敗は、年金問題と言う残る「閉塞感」を軽視したことにつきます。福田政権もしかり。厚生労働省に始まる公務員改革と言う既得権者との戦いの中で国民が感じる「閉塞感」を無視あるいは軽視し続けてきた末の麻生政権への交替でした。しかし麻生さんの取り巻きには、やはり依然としてこれが見えない。その結果の渡辺喜美の反乱であり離党であったのです。
ここでなぜ麻生さん本人ではなく取り巻きを問題とするのか。それは、福田さん同様もともと麻生さんにはこの大局観があって総理になったのではないと言うことです。ただ福田さんには安倍内閣の鈍感さと言う目の前の「閉塞感」があった。しかしこれは麻生さんにはない。
つまりは、いま自民党が麻生政権を維持して戦って行くには、この郵政も含めた既得権者によりもたらされる「閉塞感」の解消以外にはないと言うことです。これこそ麻生総理の「天の時」の意味であり、麻生さんを支える取り巻きがこれを明確に意識しなければ、遅かれ早かれ麻生さんに替わる「顔」を立てるしかなくなるのは目に見えているのです。
そしてその人は、小泉さんしか、もう残されていません。
果たして小泉さんの再登壇は、あるやいなや。
これは十分考えられることですが、もちろんそのための条件が必要です。その一つは、麻生政権による既得権者への迎合であり、これに反発する自民の一部による内閣不信任決議での造反、解散総選挙です。このとき造反議員も一緒になって自民党総裁として戦えるのは小泉さんしかいないと言うことです。
はてさて、いかなる展開になりますやら。実に面白い状況であります。 KAI
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