あと何年かすれば、これも立派な歴史のシンクロニシティになるかもしれない。
同志をつのり、朝廷より先ヅ神州をたもつの大本(タイホン)をたて、日本(ニツポン)を今一度せんたく(洗濯)いたし申(もうし)候 (坂本龍馬)
(中略)
龍馬が残した文章は案外少ないのだが、彼の人柄をほうふつとさせるのが、3歳年上の姉、乙女への手紙の数々である。(中略)
不吉な予感は的中した。その4年後のきょう、つまり誕生日に龍馬は京都で暗殺される。維新を目の前にした、この悲劇をどう理解すればよいのか。司馬遼太郎は『竜馬がゆく』でつづっている。
《暗殺などは、たとえば交通事故とすこしもかわらない。(中略)天が、この国の歴史の混乱を収拾するためにこの若者を地上にくだし、その使命がおわったとき惜しげもなく天へ召しかえした》
(産経新聞、次代への名言、2008/11/15、p.3)
なるほどオバマの使命とは、そう言うことか。しばらくオバマの当選以来、その意味を考え続けたけれど、答えはでなかった。
秘されたフセインの名、神州こそ、オバマにとって大本となる。彼にとって共和も民主もない。彼の使命とは、歴史的なイスラムとの和解。ベトナム還りのマケインと戦ったのも何かの因縁。合衆国をいかにして「せんたく」するか。その姿はまるでわからないけれど、彼は間違いなくユダヤとイスラムとの歴史的和解の礎を築くことになる。
そして、その使命を終えるときが神に召されるとき。この数奇な運命を、たとえば交通事故とは。さすが司馬遼太郎、稀代の歴史家の言葉ではある。 KAI
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