モノゴトの仕組みのチカラ

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モノゴトの仕組み仕掛けが見えると言うこととは、こう言うことであります。

今朝の産経新聞の東京大学大学院教授伊藤元重氏の「日本の未来を考える」シリーズの中の論文は、非常に興味深い内容です。

お読みいただければ納得していただけると思いますが、資産課税を利用した、農業問題と高齢者医療費問題の解決の道筋を見事に示しています。

世の中の仕組みにおいて、金利や課税は、電気の流れに例えるとオームの法則の抵抗(R)に相当します。二つの抵抗を用意して、抵抗の値に差をつけることによって、二つの端子の間に電位(V)を生みます。電位は電流(I)を生み、意図する方向に電気の流れを制御することができます。

農業問題においてはこれが、農地と言う資産の有効活用を促す方向に働くことと簡単に理解できますが、高齢者の医療費問題は、少しばかり整理する必要があります。

高齢者は、社会にとって医療費始め社会保障費と言う課目の消費の主役です。高齢化社会にあっては、この費用が増えることはあっても減ることはありえません。

これを相続税と言う形の資産への課税でまかなうと言うのが伊藤氏のアイデアです。もしこれが本当に実現したら、何も言うことなしです。

しかしこれは当然相続税に別枠を設ける必要があり、その分の増税を伴います。今話題の一般財源としてではなく、高齢者医療費目的の特定財源となって、医療費の増加にあわせて消費税率と同じように税率を順次上げていく必要があります。つまり税率と医療費の増加が直結することになり、これはすなわち税率による医療費のコントロールを可能にすることを意味しています。

このことの意味はきわめて重要です。

どう言うことかといえば、医療費改革にせよ増税にせよ、国民の協力がなければ一歩も前に進みません。しかし国民がいくら協力したいと思っても、社会保険や道路財源のあきれた使い道が次々と明らかになるたびに、透明性の高い監視システム抜きでは、納得のいく協力は出来ません。

これが別枠相続税率と言う形で、国民に明確な指標として示されることで、国民による常時監視が可能になるのです。

福田さん、ぜひとも現状劣勢挽回の切り札として、これを取り上げてみてはいかがでしょうか。 KAI