勝負に勝つためには、我慢すること。これに尽きます。
ですからKAIは公式のトーナメントに、かれこれ30年近く出ていません。理由は簡単。我慢するテニスは面白くもなんともないからです。であるからこその週末テニス。極楽度ここに極まれり。勝敗ではなく、いかに気持ちいいテニスができるか、この一点にこだわったテニスこそ、至上の悦びとなるのです。その上で、勝つ。これこそが勝負の神様に喜んでもらえると信じて、30年。
しかし、現実はやはり勝つためには我慢が肝要であることに、変わりありません。
最近時間がなくてテレビ観戦の暇がない麻雀にしても、勝つ打ち手は必ず当たり牌を押さえます。たとえその牌をきれば聴牌となる場合でも、簡単には出しません。これに対して我慢できない打ち手は当たり牌をきって、相手を調子づかせることに安易に貢献してしまうのです。
この我慢する打ち手、我慢できない打ち手との違いとは何か。
それは、我慢のタイムスパンの違いです。重要なことは、目先の利益ではなく最終の利益であると分かることです。最終の利益を獲得する為には、我慢するタイムスパンを長くとる必要があります。
高校野球がこの好例です。送りバントを繰り返して点を重ねないと勝ち上がっていくことはできません。プロ野球と違って負ければ、そこでお仕舞いです。逆にプロ野球は、今日負けても明日もゲームがあるからタイムスパンは短いように見えますが、実際の我慢のタイムスパンは、シーズン優勝です。
シーズンを通して圧勝できるなどと言う恵まれたチームは別ですが、限られた戦力をいかにシーズンを通して配分するか、監督は我慢を強いられます。選手の我慢のタイムスパンは、まったく逆です。投手であれば1球1球の中に我慢と言う抑制のきいた配球が必要であり、打者も選球において同じです。野手もまたその1球1球ごとの状況に応じて、守備位置を変えることのできないものは、プロとは言えません。イチローのレーザービームは、この動物的とも言える打球が来る前に移動した守備位置により生み出されるのであって、彼の強肩のなせる業と考えるのはお門違いもいいところです。
そして肝心の経営も、しかり。
期ごとの業績こそ、シーズン優勝です。
シーズン優勝するためには、ゲームに勝って勝率1位になることですが、経営におけるゲームとは受注競争です。この勝率、すなわち受注率をいかにあげていくかは、選手(営業マン)の我慢にかかっているのです。そもそも営業とは、端から買ってくれるお客様だけなら、営業はいりません。買うつもりのないお客様の気持ちをいかに買う気にさせるか。ひたすら我慢です。
しかし、これができない。理解できないのです。
営業マンは、何を我慢する必要があるのか、これさえできれば9回表まで持つのです。それは、お客様の言うことをひたすら聞くという、我慢です。あとは9回裏、一言『すべてできます』で、お仕舞いです。
この我慢ができない営業マンは、小さなことでできます、できますと言って勝とうとする。これではゲームは勝てない。なぜなら、お客様は敵ではなく、味方だからです。もっといえば敵は競合会社です。このお客様を味方につけることこそ、敵である競合会社に勝つことができる唯一の方法であるにもかかわらず、小さなことで味方であるお客様に「勝とう」とする。
これが我慢できないのです。
ひたすら受注と言うゲームに勝つまでは、我慢すべし。
そして我慢の週末テニス。土曜6-3、3-6、0-4、日曜6-2、0-6、2-4の両日ともの1勝2敗の結果に、我慢のテニスが現れています。もちろんこれが極楽テニスでもあるのですが。 KAI
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