松下幸之助の言葉(29)

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KAIにとってのテニスは、幸之助はお茶を点てることであったと言う。

 経営は奇麗ごとではない。「狂」の部分があり、その覚悟が必要だというのが幸之助の持論であった。毎日が緊張の連続である。時には精神を休めないとまいってしまう。だが彼は現代のビジネスマンのようにゴルフをするのを嫌い、「ゴルフは企業を亡ぼし、国を亡ぼす」と語った。
 彼の場合お茶を点てることが、ゴルフに代わるリフレッシュ法であった。
(産経新聞、同行二人(どうぎょうににん)第27回、北康利、2008/3/11、p.23)

この「狂」と言う字に、激しく共鳴してしまった。

戦渦の中、意に反して軍需産業に組み込まれ財閥パージを生き延びた幸之助の「狂」と比べるべくもありませんが、つくづく感じるのがこの「狂」なる心の有りようです。恬淡にして狂、狂にして恬淡と言う一見まったく反対の有りようが、心の中に共存する。そこにとてつもない強いエネルギーをもった強靱な意志が生まれる。

経営とは、そう言うもんです。

これは人の心臓が生を受けて以来死ぬまで恬淡と鼓動を打ち続けるのと、同じです。しかしなぜ打ち続けるのか、それこそ「狂」とも呼ぶべき「生」なるものの強靱なるエネルギー以外の何者でもありません。

今はただ「狂」に身を投じて、ひたすら同行二人の旅を続けるしかないのかもしれない。 KAI