松下幸之助の言葉(28)

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テレビの販売価格を巡る中内功との30年戦争の始まりとなった1964年から10年後、1974年、今度はビデオ戦争が勃発します。

 私情を捨て消費者の立場で「素直」に判断したら、VHSを選ぶしかなかったということなのかもしれないが、しがらみを捨てて「素直」になることは、そう容易なことではない。
 こうして昭和五十二年(一九七七年)、松下のVHS陣営入りが発表された。それは同時に、ソニーがビデオ戦争に敗北したことを意味していた。しばらくはソニーも検討したが、衆寡敵せず、昭和六十二年(一九八七年)、ソニーはVHS方式の生産を開始し、VHS陣営の軍門に下るのである。
(産経新聞、同行二人(どうぎょうににん)第26回、北康利、2008/3/4、p.21)

かようにビデオ戦争の終結には、13年もの長きに渡る歳月を要することになります。

先月東芝の撤退表明により終結した次世代DVDの規格戦争は、当事者にとってだれしもこのビデオ戦争が教訓としてあったはずです。そう言う意味で、ソニーにとって最初から負けるわけにはいかない戦争であったわけで、当然と言えば当然の結末でした。

しかし時代はもはやDVDではなく、テラビット通信によるダウンロードの時代。モノとしての流通の制約を受けるDVDの未来は、きわめて不透明です。

ビジネスの現場は熾烈です。これを戦い抜いて勝ち残っていかなければ、何の意味もありません。勝って兜の緒を締めよ。ソニーの戦いは、これからが本番です。 KAI