ソフトウェアの付加価値が、そのコード量の閾値と直結していることは、今までここに何度も書いてきた。
にもかかわらずここ何年か、コードをちょこちょこっと1週間くらい書けば、新サービスをリリースできるかのような風潮があって、新米エンジニアがこれをまともに信じてしまうのではないかと苦々しく思ってきたが、少し風向きが変わってきたかも。
ニコニコ動画の開発においてその開発者の戀塚氏がメディアで、2、3日で書き上げたなどと言うもんだから、まるでメディアは勘違いしてしまって、アイデアこそ新サービスの付加価値でソフトウェアは簡単にできるもんだと信じ込んでしまった。
しかしCNETの永井美智子記者はエライ。
「ニコニコ動画に学ぶ、人気サービス開発の極意」を読むと、新サービスの裏側の技術的背景が詳細にレポートされていて、このサービスが決してアイデアだけでできたものではないことを序実に活写しています。
これもシンクロニシティ。
エンジニアが思いついたアイデアを形にして発表し、それがたまたまヒットする――という流れで大きくなったネットサービスは多い。「はてなダイアリー」もその1つ。だが、特にテキストサービスでは、「個人が一発アイデア勝負できる時代」は終わりつつあるという。
「休みの日に思いついたものを1日で開発し、リリースしたら流行する、という流れは枯れていく感じがする。iPhoneやWii――これはハードだが――のように、組織立ってきちんとモノづくりをしてきた会社が作ったものが評価される時代。他よりも明らかにいいものをきちんと作り、共感を得ていく、というのが必要になってくると思う」
はてはな昨年から今年にかけ、既存サービスをブラッシュアップしてきた。はてなダイアリーもユーザーインタフェースを改善。ネット初心者に使ってもらい、問題点を洗い出すテストも初めて行った。「全然使い方が分からないと言われてショックを受けたし、恥ずかしかった」
個人の力でサービスを作り、未完成の状態で公開。ネットの先進ユーザーと共同で形作っていく――はてなが先導してきた「Web2.0的」なものを、はてな自身が否定し始めている。より組織だった体制で、初心者にも使いやすい、質の高い物づくりを志向。サービスの将来を見すえながら、地味でも少しずつ改善していく。まるで「普通のメーカー」のように。
(お題に沿って一言どうぞ――“はてな俳句”はTwitter風 (2/2))
そう言うことです。地道にコードを積み上げていくこと、その積み上げることのできる仕掛けを開発すること、その仕掛けの上でコードを書き続けること。
これ以外には、エクセレントなアプリケーションを開発する方法はありません。
ソフトウェアとは文化です。
文化とは、その積み重ね以外の何者でもありません。
この文化としてのアプリケーションこそ、真の人を幸せにするソフトウェアなのです。 KAI
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