リキとアンジェロ

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リキが亡くなって、もう5ヶ月もたった。リキが亡くなると同時に一気に運勢が落ちてしまった。

そりゃそうだ。KAIにとってリキは、2000年から7年間ずっと守り神でいてくれたんだから。それをものすごいエネルギーで、自分だけで守ろうとしてきたけれど、うまくいかなかった。神の守る力とはそう言うもんだと実感せざるを得ません。

しかしここにきて、やっとエネルギーが収斂してきた。考えられるありとあらゆる可能性の中から、それを取捨選択する。1週間かかったけれど、闘い方も見えてきた。

そんなこんなで6-1、2-6、3-6、1-5の1勝3敗と散々の土曜テニスの後の、イタリアンレストラン、アンジェロ。次から次へ客が入ってくる。

シンクロニシティ。ウチダ先生がイタリア料理の本質を喝破する。

どうしてイタリア料理が美味しいのか。
それは大航海時代に世界中の食材がジェノヴァ、ベネチア、ナポリなどのイタリアの貿易港に集まってきたからである。
世界中から到来する奇々怪々なる食材をかたっぱしから調理してしまったということによってイタリア料理はそのレシピを豊かなものにしていったのである。
食文化を高めるというのは、食材や料理法の伝統を墨守することではない。
もし地中海世界のヨーロッパ人たちが彼らの「伝統的な食文化」を後生大事に守っていたら、私たちの食膳にはジャガイモもトマトも唐辛子も胡椒も載っていないのである。
しかし、イタリア料理はある段階でそのダイナミックな進化のプロセスを止めてしまった。
もう十分に美味しいもののレシピを満たしたから、これはこれで「上がり」になってもよろしいであろう。(イタリアンはどうして美味しいの?

この止めてしまった進化を、このアンジェロが引き継いでいる。

それから後、外部から到来する食材をかたっぱしから調理し、あらゆる調理法を試すという「食文化のアヴァンギャルド」を担っているのは自慢するわけではないが、わが豊葦原瑞穂の国である。
食文化とは「守る」ものではない。
それは創り出すものである。

とウチダ先生が書いたとおりです。

そうなんだよね。創造なんだから攻めなきゃ。ついつい守りに入ろうとしていて、今守りに入ってどうするんだよと、自分。強い気持ちを持たなきゃ。

日曜テニス。案の定最初のゲーム、劣勢になってやっと守りに入っている自分に気づく。土曜テニスでも4セット目の0-2と追い込まれてやっと目覚めて1ゲーム奪取したけれど、時すでに遅し。今日はなんとかここで立ち直って、3-6、2-6、6-2、4-1と2勝2敗のイーブンまで戻す。

14時、テニスを終えてそのままアンジェロへ。

満席ではないにしろかろうじて、退席直後のテーブルにすわることができた。

しかし考えてみれば不思議なものです。こんな世間の関係者以外の誰も知らないアンジェロが、実は創造性の一端を担って日夜奮闘している(ほんと年中無休、気ままに有休)。

いままでそれこそ20年通ってきたアンジェロの秘密に気づかされて、またひとつ創造のエネルギーを収斂させたKAIであります。 KAI