今朝の散歩は最悪だった。
一方通行の見通しの悪い路地で、ネコが車にひかれて頭がつぶれて死んでいた。すぐそば、といっても数十メーター離れた一軒家の軒先で母猫とおぼしき猫が、にゃーにゃーと早朝に似合わない声をあげている。KAIはネコ語を解せないけれど、あの声はまちがいなく、どこにいるの、どこにいるの、と繰り返し子どもの所在を確認する母親の声であった。
車を運転して云十年になりますが、幸いKAI自身はネコをひいた経験はありません。しかし今まで目撃した交通事故で、轢かれているのはイヌではなく圧倒的にネコです。
KAIはこれを「ネコの交通事故」と名づけて、人が危ないと思ったときそのまま突き進むことがいかなる結果を生むか戒めとして、過去いろいろな場所でしゃべってきました。
ネコは危ないと思った時、立ち止まったり引き返したりせず、そのままやり過ごそうとします。つまり車と衝突しそうになって突進するからひかれるのです。この点イヌは違います。イヌは尻餅つくように後ずさりするから衝突することはまれです。
なぜネコは突進するのか。
それはネコにとって突進することが、ネコが考える唯一の今の危機を脱出する方法だからです。ネコにとってその場にとどまるよりも、突進して場を変える方が安全と考えているからです。これはどう言う意味かと言うと、その場にとどまるとは問題解決の前提条件を変えないと言うことであり、場を変えるとは問題の前提条件を一挙にリセットすることを意味しています。
つまり危ないと思ったとき、同じ前提条件のままでは、そのまま負けを意味します。この状況で勝機を得るには、瞬間的に場を変える以外にはないと思う。この結果の突進であり、ネコの交通事故であるわけです。
このネコの交通事故、先日危機一髪に書いたような子どもの飛び出しとは、全然違う種類のものです。子どもは危ないと思って飛び出しているわけではありませんが、このネコはまったく逆に危ないと思って飛び出します。
人もネコと同じ行動をする人がいて、この判断は一瞬です。考えて行動するわけではなく、これはいわば「クセ」です。飛び出すといっても人が車に突進すると言うような物理的な意味ではなく、危ない、やばい、どうすればいいかわからないといった精神的危機的状況に遭遇して、いかなる行動をするかです。
ネコの交通事故型クセの持ち主は、例えばパソコンが動かなくなるとキーを見境なく押し始めて挙句の果てにマシンを叩きはじめます。結果的にますます解決が困難になるのは目に見えています。
本来立ち止まって引き返すべき場面で、そのまま突き進んで土壷にはまっていく。
しかし、これは「クセ」です。「クセ」ですからこれを直す方法はただ一つ、痛い目、すなわち「交通事故」にあうことです。
つまり、ネコの脳髄がつぶれてはみ出している場面を思い出していただければ、十分ではないでしょうか。 KAI
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