夢二式美人と心の美人

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最近毎週土曜日の早朝が、楽しみです。理由はNHKの美の壷と言う番組の再放送。

今朝は、竹久夢二の美人画、夢二式美人がテーマです。

夢二式美人を味わう壷は、しぐさ、お洒落、配色の妙の三つ。しぐさとは、女性のしぐさのなかの、かわいらしさ、奥ゆかしさ、艶やかさです。お洒落は、コーディネート。女の心が、動いて出てくるような、やさしく楽な着こなし。配色の妙は、リズミカルな色の配置。まさに目で見る音楽。

なるほどなるほど。

美とは何か。美しいとは何か、といえば、やはりそれは心の中の圧倒的な感動です。そして感動するための、心の目、心の中の澄んだ目を、欠かすことはできません。

この澄んだ目を通して、美と美を鑑賞する人との間の共鳴現象が、美の感動を生み出します。

そういう意味で夢二式美人に、現代に通ずる不変性があるのかどうか。

それは、残念ながら、否です。

理由は簡単です。その理由とは、情報過多です。夢二式美人の時代の情報量と現代の圧倒的な情報量の差が、夢二が表現する微妙な、女の心の機微を打ち消してしまっているのです。

今では、女のかわいらしさ、奥ゆかしさ、艶やかさに、誰も感動しません。女の心は最初から、表に出ずっぱりです。デパートで売られている浴衣のデザイン、配色に胸をときめかせるものはありません。すべて流行りと言う形で、個性を喪失しているからです。

この情報過多時代の美人は、まさに美人の受難時代、戦国時代。

こういう時代の美人とは、圧倒的な心の美人、です。これが今年のテーマになるのは、間違いありません。 KAI