動物感覚−アニマル・マインドを読み解く

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分厚い本ですが久しぶりに一気読みしたい本に出会った。動物感覚−アニマル・マインドを読み解く(日本放送出版協会、テンプル・グランディン /キャサリン・ジョンソン、2006/05)と言う本です。

まだ読み始めたばかりですが、気になる一節をいくつか。

 私は動物がどんなふうに考えているかわかるのだが、自閉症でない人は、それがわかった瞬間はどんな感じだったかときまってたずねる。直感のようなものがひらめいたと思うらしい。
 だが、私は直感でわかったのではない。動物について、ほかの人にわからないことが自分にはわかると気づくまでには、長い時間がかかった。飼養場で家畜を管理する仕事をしていたのだが、自閉症のおかげで、経営者よりも大いに得していることに気づいたのは、四十代になってからだった。自閉症だったために学校や社会生活ではつらい思いをしたが、動物を相手にするのはたやすかった。(p.9)

動物の目で見る−−視覚環境
 アリゾナ州立大学でおこなった研究でただひとつおもしろかったのは、動物の錯視[視覚における錯覚。大きさ・長さ・方向などが客観的なそれらとはちがった見え方を生ずる現象]の調査だった。錯視に興味があったのは、たぶん、私が目で見て考える人間だったからだ。あのころはわからなかったが、目で見て考える人間だったことが、動物相手の仕事をする出発点になった。動物も視覚的な生き物だから、私は、ほかの学生や教授がもっていない貴重な視点をもっていたことになる。動物は目で見るものに支配されているのだ。
 私が目で見て考える人間だというときには、建築用の製図を作成したり設計をしたりするのが得意だとか、頭の中で牛用制御システムを設計できるということだけを意味しているのではない。実際に映像を思い浮かべて考えることをさしている。私の思考過程には言葉はなく、映像だけがある。(p.29-30)

この、彼女が映像で考えると言うのはものすごく共感できます。筆者は別に自閉症だとは思っていませんが、以前のエントリーに同じようなことを書きました。

普段、私はB4サイズの原稿を収納できる書類ケースを毎日持ち歩いていますが、その中には、10種類以上の設計中のアプリケーションの仕様書が入っています。

一つ一つが未完了で、途中までしか記述されていません。

これを行く先々で開くのかと言えばそうではなく、ある日、突然、解決方法が見つかることがあって、それは自宅の場合もあるし、バーのカウンターの夢の中であったりするのですが、その時に必要になるからです。

一つのアプリケーション(の一部の機能)を設計する作業は、私の場合、すべて頭の中で行います。

この作業を人に説明するときによく使うのが、無重力空間に立体ジグソーパズルのピースが浮いていて、ある時突然全てがうまく組み合わさって、パズルが完成する、そう言った感覚です。

ですので、一度に、何種類ものパズルを頭の中に浮かべておくのは大変で、実際には、今は一つしか浮かべていません。作業を行うときに集中して思い浮かべるのですが、ピースの数が多いパズルほど、頭の中で展開するまで時間がかかります。ですからこういった連休中が、一番考え事をするのには最適なのです。
アプリケーションを設計すると言うこと

引用ばかりで何も新しいことを書いていませんが、この本を読み終わる(はずの)週末には、また大きなアイデアが湧いてきている予感がします。 KAI