Software as a Service 対 ASP

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まずは以下のWikipediaにあるSoftware as a Service (SaaS)の記述を読んでみてください。

ASP versus SaaS
The reason for moving away from the term ASP or Application service provider is that the ASP generation was merely traditional client-server applications with HTML front ends added as an afterthought. These applications were hosted by third-parties who ordinarily did not have application expertise, but were managed servers. Because the applications were not written as net-native applications, performance was poor and application updates were no better than self managed applications. By comparison, current net-native SaaS applications are updated regularly, many daily.

要は、SaaSを無理矢理差別化したいがために、ASPの意味をおとしめる定義を捏造しているだけの話です。

そのSaaSを日本でサービスしているのは「SalesforceとNetSuiteのみ」とおっしゃる、ネットスイート日本法人社長東貴彦氏ですが、こんなこともおっしゃってます。

 NetSuiteインターナショナル版は、すでに日本語が利用可能となっているが、日本版はインターナショナル版を元に、日本語処理の高速化や日本特有の機能強化などを行う。日本語のふりがなに対応するといった基礎的な部分はもちろんだが、大幅な機能のロードマップとしては、2006年夏に業種別テンプレートや携帯電話との連携、配送連携、決済連携などを予定している。また、2007年夏には日本専用の帳票・報告書や税務処理、会計処理機能などを提供する予定だ。

つまり、まだまともに動くものがありませんとのことです。ERPと言いながら「テンプレートの提供」や「日本専用の帳票・報告書の提供」などカスタマイズ前提では、使い物にならないどころか、SaaSそのものがビジネスの体をなしていません。

本来のエンタープライズ向けASPサービスとは、ERPシステムが“あちら側”にあって、企業側が場所を選ばず、どのパソコンからでもブラウザだけでアクセスして利用できるサービスをいいます。あちら側でアプリケーションがどう動くかは、それこそ差別化要因たる実現ノウハウそのものであって、企業側には関係ないことです。

ユーザーである企業にとって重要なことは、何ができるか、ただその一点です。そしてERPとは、すべてできる、です。テンプレートやカスタマイズなどとふぬけたことを言っている場合ではないのです。

その前提条件が満たされた上で、ユーザー企業側の自社開発のWebベースシステム向けAPIを公開するのでなければ、これこそ(本来の上位の意味の)ASPサービスとはとても言えないと言うことです。(続く) KAI