腐っても鯛とビジネスモデル(3)

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私たちのオフィスの入り口は、創業以来、ずっと招き猫が受付嬢です。

この招き猫と言うのは、左手で招くのか右手で招くかの違いで、二種類の招き猫があります(なんと両手招き猫もあるそうです^^;)。この二種類の意味は、左手は人を招き、右手が金を招くのだそうですが、当然私たちの受付嬢は左手の猫です。お金に足が生えている訳じゃない、お金は人が運んでくるモンだから、当然のことです。

現在のGyaOが考える広告モデルに決定的に欠けているのが、この当たり前の視点です。

今発売中の月刊ボス(経営塾、2006/6)に特集「GyaO1000万人の破壊力」が掲載されています。その中で取締役の高垣佳典氏が語っている内容です。(p.14-15)

 私たちがGyaOを設計する時にかなり議論しましたが、登録の段階で、男女(性別)、郵便番号(地域)、生年月(年齢)を入力していただいています。この属性の組み合わせでCMをセグメント配信する。ユーザーの登録によって配信するCMが異なる。そしてテレビはだいたい一五秒のCMが多いですが、詳しく説明したい場合、GyaOでは三〇秒でも四五秒でもかまいません。これらの機能で、広告宣伝費ではなく、販売促進費で出稿してもらえるよう提案しています。総宣伝広告費四兆円に対して、総販売促進費は一一兆円。実はこちらのほうが、マーケットが大きいんです。

一見まともな議論に見えますが、よく考えればとんでもない内容です。

まず登録者の属性情報によるCMのセグメント化です。これが使えるのはせいぜい化粧品など女性向け商品のCMか、地域ごとの不動産広告くらいで、これ以外は圧倒的に“コンテンツ”のカテゴリーによるセグメント化が常識です。つまりつり番組にはつり道具のCM、ゴルフ番組にはゴルフ道具のCM、これ常識あるね。

じゃあ、普通のテレビのCMとかわらんじゃないのと思うかもしれませんが、広告2.0は違います。スポンサーが、掲載する番組を料金に応じて自由に選べるようにすれば良いんです。あっ、この番組は絶対当社の顧客がターゲットになると思えば、かたっぱしからCM掲載できるのが、広告2.0です。もちろん消費者は、これに応えて、スポンサーの商品の購入に走ります。

もうひとつのおかしな内容。販促費と広告宣伝費を同じ土俵でくらべるもんじゃありません。販促費とは費用の中分類であり、広告宣伝費は販促費と言う費用の中の小分類です。当然「マーケットが大きい」のはアタリマエ。それを言うなら販促費の中で、広告宣伝費だけでなく、例えば販売手数料と言う勘定科目で処理できるんですよってことです。

ともあれ招き猫です。GyaOは、お金(スポンサー)ばっかし見てないで、人(登録ユーザー)にどうやればお金を運んできて(使って)もらえるか、それにはいま何が足りないのか、胸に手を当ててよーく考えてほしい。 KAI