カスタマイズとは?
筆者は根っからのソフト屋です。ですからハード屋とはソリがあいません^^;。
ハード屋がソフトを作ると、携帯の電源を入れるのに1.7秒ボタンを押し続ければできるとか、ボタンを2度押せば別のメニューになるとか、こういったボタンの押し方によるインターフェイスが、性に合いません。(とりあえず日常生活は致し方なく適応してはいますが)
しかしなぜそうなるのかは、簡単に理解できます。ハード屋の選択肢はせいぜい200どまりです。ところがソフトの世界は、200なんて話にならないどころか、この上限はありません。つまりソフトはボタンインターフェイスさえ、自由にその上限の選択肢をコントロールができ、つまりハード屋が考えるようなチープなインターフェイスは、まったく不要であるわけです。
これと同じ問題が、ユーザーが要求するカスタマイズにあります。
ユーザーが理解している業務の世界は、筆者が言う「ハード屋」の世界と、寸分たがわず同じです。ユーザーは、これは致し方ないとはいえ、全く自分以外の、他人のことを理解してもいないし、しようともしません。こんなユーザーの言い分をたとえ一つでもきいて、アプリケーションを作ったら(大半の企業はつくっているけれど)、結果できあがるのは、そのユーザーでしか通用しない選択肢200の世界です。
ところがユーザーの業務領域は、日々変化していきます。当然選択肢200では不足します。別の選択肢を増やさざるを得なくなり、これをカスタマイズと呼ぶわけです。ですからユーザー企業が成長する限りカスタマイズが止むことはありませんし、逆にカスタマイズが不要になるとは、その企業が成長をやめたことを意味します。
これに対して、パッケージと言うのがあってこれになぜカスタマイズがついてまわるのかと言うと、実はこのパッケージと称しているものが、ほんとのパッケージではないからです。ユーザー企業の業務を知らないパッケージベンダーが、どこかのユーザー企業の言い分を聞いてつくったものを、あたかもパッケージでございますと言う衣装を着せているだけのことだからです。当然他のユーザー企業にそのまま通用するはずもなく、当然がごとくカスタマイズがついてまわる訳です。
しかしこの構造はパッケージベンダーにとっては、おいしい構造です。受託開発では高いと言う顧客に、一見割安な見積もりを提示できるからです。顧客が金を持っているなとわかると、あとはカスタマイズの名の下に相手のサイフの中身の上限まで価格を吊り上げていきます。ユーザー企業もいまさら他の“パッケージ”に切り替えれないのは、ご愁傷様の限りです。
と、シニカルに評論家をきどるつもりはありません。まったく逆の立場で、このどうしようもない構造をどうやれば変えられるか、筆者のこのエントリーの重要なテーマです。 KAI
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