GyaOは成功するのか
USENが展開するGyaO(ギャオ)は、果たしてうまくいくのでしょうか。SankeiWebの記事【GyaOの実験】(上)第四のメディア動画配信 無料化で黒字視野を読みながら、いろいろ考え込んでしまいました。
時を同じくしてCNETのコラム株価の真相にも、USENの株価動向に関心が集まる理由にGyaOについてこんなことが書いてあります。
昨年4月からスタートしたGyaOの視聴登録者は11月末で457万人(現在では500万人を突破)に拡大している。ただ、広告出稿がまだ軌道に乗らないことから、売上高は3億円程度に止まっている。部門別で赤字額で大きかったのは、映像・コンテンツ事業で18億円の赤字。このうち17億円は事業の立ち上げに伴うGyaOに関する初期投資に関連したものだ。主要なコストはコンテンツ取得費用約10億円、テレビCMを中心とした広告宣伝費約8億円となっている。しかし、同社ではGyaOの年間赤字想定額を20億円程度としており、初期投資はほとんど終了したことになる。
初年度半年の売上が3億円程度では、話になりません。筆者もGyaOのサービスモデルは気に入っていて、なんとしても成功してほしいと思っていますが、一体何が問題なのでしょうか。
調べもしないで勝手な想像ですが、投資家向け説明が、視聴登録者数の拡大が一定線を越えれば、広告出稿が急増すると言うような楽観論に終始しているとすれば、これは到底うまくいくはずありません。
前々回、前回と論じてきたように、広告営業と言えども、放送と通信では、お客様も違えばビジネスモデルも違う、全く別の世界のものです。そしてGyaOのビジネスモデルは、通信としての広告モデル、すなわち情報単価モデルの世界です。ここではお客様は、広告スポンサーではない、一般消費者です。お金は一般消費者が出すことを、広告営業の責任者が理解しているかどうか、ここが一番のポイントです。つまり情報単価モデルにおいては、広告スポンサーは単なる集金代行業者です。(これがまだピンとこない人はもう一度前々回を読んでみてください)
細かい説明は端折って結論を先に書くと、通信における広告とは一般消費者の購買に結びつくコマーシャル以外通用しないと言うことです。テレビコマーシャルのような広告では、まったく一般消費者のお金に結びつきません。つまり、Googleのアドワーズ広告と同じ構造であって、このアドワーズの広告スポンサー相手に営業していると考えれば、話は簡単です。
すべて、具体的なレスポンスを前提にした広告です。これはテレビコマーシャルと対極をなす広告です。
懸念は、まさに、ここにあります。GyaOの営業責任者は、大手広告代理店出身者でないことを祈るばかりです。 KAI
コメント