放送と通信とビジネスモデル(2)

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オンデマンドで番組を配信し始めたとたん、番組枠と言う機能単価の概念は消失します。替わって登場するのが情報単価と言う概念です。これは、ケータイによる楽曲などの、消費者への直接的な情報配信をはじめとして、インターネットの検索広告に至る、通信全般に適用できる概念です。

もちろん通信そのものの機能としてケータイ1台月と言う機能単価がありますが、これにコンテンツがからむとすべて情報単価で説明できる世界になります。更に広告モデルでは、この情報単価が小数点の世界になると言う話は、モデル指向はなぜ必要か(4)の中で述べたとおりです。

つまり、広告モデルによって番組をオンデマンドで配信しようとすれば、従来からの番組枠をスポンサーに販売する広告モデルを捨て、新たに小数点の情報単価と言う広告モデル(とそれを実現する仕掛け)の導入が欠かせないと言うことです。もちろん、広告モデルによらない、情報性の高い番組の有償販売も考えられますが、現在のテレビ番組の中にこれが該当するのはごくわずかであることは、みなさん無条件で同意いただけるものと思います。

さて、それでは小数点の情報単価と言う広告モデルとは、具体的に何を指しているのでしょうか。これを一言で言うと、番組とコマーシャルのアンバンドリング化、です。番組枠の広告モデルでは、番組枠とコマーシャルが一体不可分なものでした。もちろんスポット枠もありますが、番組と番組の間にあるだけで番組枠から独立であるわけではありません。

これに対して、アンバンドルされたコマーシャルは、番組が固定化されません。過去の膨大な蓄積された番組の中から一定のルール(この部分がキモになります))にヒットした番組に、該当するコマーシャルが配信され、その実績によりスポンサーは料金をテレビ局に支払います。

現在放送されている番組に、任意のコマーシャルを挿入する技術は、CMキャンセラーの技術を使えば簡単に実現できます。更に、デジタル放送ですので、簡単にCM企業のホームページとリンクできます。この仕掛けであればネット専用のコマーシャルを制作する必要もなく、現状流しているCMをそのまま流用できます(広告会社との権利関係は残りますが)。

KDDIとクアルコムの提携は、ケータイ向けの新たなるテレビ局開局の動きのようですが、このあたりのことを考えて動いているとすれば、相当大きな台風の目になるのは間違いありません。 KAI