放送と通信とビジネスモデル

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放送と通信、この二つの言葉の周辺がまたもやにぎやかになってきました。まだネットにはあがっていないようですが、今朝のNHKのニュースで報じていたKDDIとクアルコムの提携の話はなかなか興味深い内容です。しかし、ケータイにテレビのコンテンツを流す話は、ワンセグもそうですが、なかなか簡単にはいかないようです。

それは、放送にも通信にもビジネスモデルが必要で、いかなる技術が開発されようとも、このビジネスモデルが明確に見えてこない限り、世間一般への普及などおぼつかないからです。楽天のTBS買収問題が頓挫したのも、このビジネスモデルを打ち出せないまま放送と通信の融合などと言う抽象論に終始したことが根本の原因であると、筆者は考えています。

そのビジネスモデルです。結論を先に書くと、放送と通信、どちらも主流のビジネスモデルは広告モデルなのですが、互いのモデルの中身は全く異なるモデルであると言うことです。

詳しく説明する前に、以前のエントリーモデル指向はなぜ必要か(4)の復習から。

定額制モデルはP=「機能単価」、従量制モデルはP=「情報単価」

この機能単価と情報単価の違いが、そのままモデルそのものの違いになることを、このエントリーで説明しました。実は、今回取り上げている放送と通信の、それぞれの広告モデルの違いも、この機能単価と情報単価の違いによって明確に説明することができるのです。

放送における広告モデルは、P=「機能単価」となります。これは、放送と言うビジネスモデルでは、番組と言うコンテンツを販売しているのではなく、番組枠と呼ばれるバラバラに分解された放送時空間をスポンサーに販売しており、放送時空間=機能と見なせることを意味しています。従って、放送における番組と言うコンテンツは、その番組枠と言う「機能」のパフォーマンスを高める役割をするだけで、番組そのものがコンテンツとして販売されてはいません。

この考え方をワンセグに適用すると、視聴率に支えられた番組枠のパフォーマンスを、そのままワンセグに持ち込めないことは簡単に理解できます。しかし、統計上の数値である視聴率に替わって、全件の視聴状況を把握できることに注意する必要があります。つまり、ケータイ向け機能単価メニューを別途設定するだけで、その費用対効果を瞬時に測定できるようになります。これは視聴率にかわるとてつもない大きな武器になることをテレビ局側は理解する必要があります。(現状、まったく逆の理解にとどまっていますが)

一方で、通信における広告モデルと言うと、この放送時空間=機能と言う概念が成立しません。なぜなら、テレビと言う閉じた世界の放送時空間が有限であるのに対して、通信における時空間である番組枠はいくらでも無限に増やすことができるからです。

そこで通信における広告モデルに、P=「情報単価」が登場するのですが、すでにヨッパですので、続きは、アシタ。 KAI