タイブレークと言うルール(3)

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虎を肴に少子化問題を考えるとはこれいかに

虎、不甲斐なさすぎ。予想通りロッテが日本シリーズを征しましたが、もう少し土俵際の踏ん張りがきくかと思ったのは虎の買いかぶりすぎでした。まあおかげで、2年連続シーズン2位のチームがシリーズ優勝したことで、多くの識者がこのアンフェアなルールの問題に気づいたことは収穫です。

前回も言いましたが、日本の社会は平等と言うことには神経をとがらせるけれど、このフェアネスにはなぜかほとんど無頓着です。こういったスポーツでさえこの体たらくですから、ビジネスでは不公正なルール(裏のも含めて)のかたまりです。しかし、公正と平等、この違いが理解できない人が多いのには驚かされます。公正とは条件であり、平等とは結果です。

私たちが目指すべき民主主義社会とは、平等社会ではなく公正社会です。この公正社会を弱肉強食社会と批判する人がいますが、全く公正社会のなんたるかを理解していません。弱い者と強い者を同じ土俵で同じルールで戦わせるなどと言うのは、全く公正社会と似て非なる、不公正社会です。

また弱者には競争は無用で強者のみ戦えばいいなどと言う“ふぬけた”議論もあります。いわゆる社会保障制度の議論です。ここで筆者がなぜ“ふぬけた”などとこの議論を揶揄する言葉を使うのか、説明しておく必要があります。

不公正なルールで戦えば、強い者はいつまでも勝ち続け、弱い者はいつまでも負け続けます。これを社会保障の議論では、不公正なルールを変えるのではなく、弱い者を退場させ、保護と言う名の「隔離」を行ってきたし、今後ますますこれを進めようと言うのが議論の内容だからです。

本来の公正なルールであれば、強い者も弱い者も同じように勝つチャンスがあり、競争の場から退場させられることはありません。具体的には、ここで医療費などの議論をすると長くなりますので、少子化の問題を例に、この公正ルールの考え方を説明します。

少子化の是非はここでは問いません。なぜ少子化になるかと言うと、単に女がこどもを産まないからです。女がこどもを産まないのは男が女をはらませないからです。戦後のベビーブームとは、戦争に行っていた男たちが帰ってきて女をはらましたから、一斉にこどもが生まれました。

今男が女をはらませない(はらませられない)理由は色々あるでしょうが、筆者が考える一番大きな理由が、この“不公正なルール”の存在です。女をはらませる能力?を持つ男の大半はサラリーマンです。サラリーマンがこどもをつくることは、一見税額控除などメリットがあるように見えますが、実はデメリットの方が大きいことに、世間は気づいていません。

男にとってまずはらませる女が必要ですが、独身の男が結婚する理由はこどもをつくるためではなく、相手の女を好いたからです。好いた女がいない男はいつまでたっても結婚しません。普通のサラリーマンはそのうち給料が増えていき、生活が豊かになります。いわゆる独身貴族です。

この独身貴族である男が結婚しておまけにこどもをつくるとどうなるか。この男だけでみた使えるお金(可処分所得)が減ることになります。逆に言うとこどもを持つ男は、こどもと言うハンディキャップを背負ってサラリーマン社会を戦っていると見ることができます。これを扶養控除で補えていると言う人は、フェアルールの概念の理解できていない人です。サラリーマン社会の競争は、手取りではなく額面です。プロ野球の選手の年俸と同じです。これを手取りなどと言ったら笑われます。

つまりサラリーマン社会と言う競争社会は、こどもを持つサラリーマンとこどもを持たないサラリーマンを会社と言うフィールドで同じルールで競わすと言う、不公正ルールの社会だと言うことです。

ではサラリーマン社会の公正ルールとはどう言うものかと言えば、法律で例えば未成年のこども一人あたり最低月額8万円の手当の支給を義務づけることです。同時に扶養控除は廃止し、替わりに、法人税からこども手当減税を実施します。多少法人税の方の減税率を高めに設定して、経済界として受け入れやすくします。確かに企業の業績に直接影響しますが、実質は法人にとって大幅な減税になります。

これがなぜ公正なルールになるのか、少々長くなってしまったので割愛しますが、このルールの下でなら、男に女をはらませてこどもをつくると言う強いインセンティブが働くのは間違いありません。(もちろんこれは働く女性にも言えることです) KAI