バーのビジネスモデル(2)

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続いて星条旗通りではどうなるか。

<バーM:ビジネスモデル>:
P=4,500[円/人]
V=900[円/人]
F=900,000[円]
Q(損益分岐点)=250[人];

こちらも、1ヶ月26日とすると1日最低約10人の客が必要と言う計算になります。更にP=4500については、このバーが1階にあり、客の半分以上がカウンター中心であることを考慮すると、一人平均2.5杯、1杯1800円になると言う設定です。Vも原価率(V/P)が20%になりますがPが小さいため致し方ありません。

さて、こう言う「想定」の基で実際にやってみて、Q=250が達成できれば次何をやるか。Q=250に行かなかったらどうするか。

まず達成した場合です。当然、達成できたかどうかの前に、前提とした数字と実際の値のズレをチェックしておく必要があります。Qは達成できてもP<4500円ならPQ(売上)自体目標に行きませんから、当然G<0(赤字)になります。逆にP>4500円なら目標を上回ることになりますが、なぜそうなったのか、事前の想定した条件(一人2.5杯、1杯1800円)まで検証してその要因を確かめます。一人2.5杯と言う条件が違っていたのなら、ではその飲み物の種類ではどの種類が伸びたのか確認します。これがビールなど季節変動を受けやすいもの以外なら、そう言う傾向であるとして、次回の計画値に実績をそのまま採用します。1杯1800円が異なっている場合は、想定していた飲み物の種類別割合が異なっていたと言うことです。こちらも季節変動要因を除外することで、新しい飲み単価(1杯当たりの単価)を採用します。こういった検証作業の上で、Gの最大化に向けた作業、つまりQ↑を目指すことになります。

ここに来て重要な概念が必要になります。それは、新規、リピートと言う概念です。新規とは、その名前の通り初めて来店のお客様であり、リピートとは既存客、すなわち定期的に来店頂けるお客様です。この両者の概念の間には、昔はよく見えていたけれど最近はサッパリとか、2、3年毎に一回と言ったグレーゾーンのお客様がいますが、一度でも来店があったり、グループのお店のお客様は、すべてリピート客の扱いにします。

ここでQ↑を目指すには、新規↑とリピート↑の二種類があって、それぞれ全く異なる戦略をとる必要があります。ただ、これには順序があって、まずリピート↑が先です。つまりこうなります。

<リピート↑>→<新規↑>

これは別名口コミとも言うもので、飲食店の新規客の大半は人に連れられて来店している事実を指すものです。すなわち、既存客が新規客を引っ張って来やすいようにすることこそ、Q↑につながる一大戦略であると言えます。

この戦略から考えると、カウンター中心と言うことが不利です。3名以上のテーブル席が必要であり、またこれに対応できるバーテンダーの人数も必要になります。すなわちF↑です。しかし経営者と言うものは、従業員を増やしてF↑すれば、果たしてそれに見合うPQ(売上)が確保できるか、不安になるものです。だがしかし、それを実行しなければQ↑は望むべくもありません。

戦略とは意志です。明確な意志があれば、おそれず、それを実行していくところにこそ、勝機があります。

ここに書いていることは、ダイレクトマーケティングの基本中の基本の考え方です。実は、バーの経営とはダイレクトマーケティング、そのものだったと言うお話しです。 KAI