バーのビジネスモデル

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今回は、裏麻布のバーの経営を考えてみましょう。

PQ=VQ+F+G
M=F+G
PQ=VQ+M
Q(損益分岐点)=F/(P−V)
(P:売上単価、Q:売上数量、V:変動費単価、PQ:売上、VQ:変動費、M:付加価値、F:固定費、G:利益)

このモデルを使ってバーのビジネスモデルを記述するとこうなります。

<バーA:ビジネスモデル>:
P=6,000[円/人]
V=900[円/人]
F=1,500,000[円]
Q(損益分岐点)=294[人];

1ヶ月30日営業すると、1日約10人の客が入れば、とんとんになる計算です。もっとも、客単価(P)の6000円と言うのも、原価率15%と言うのも、おまけにFが150万円も、KAIが勝手に設定した金額ですので、実際どうなるかは分かりません。

しかし、ここで注意する必要があるのが、この数字は「予測」の数字ではなく、コントロール可能な「前提」の数字であると言うことです。これを具体的に説明します。

まずF(固定費)ですが、内訳の大きなものは家賃と人件費です。家賃はすでに大家さんとの交渉で決まっていますが、これは開店前の交渉でコントロールできます。人件費とは従業員の給料と、経営者も現場で働くならその給料も含まれます。採用する従業員の人数によって給料も大きくコントロールできます。つまりF=150万円と言う数字は、経営者が自分で決める数字であると言うことです。

次に、P(客単価)です。内訳は1杯の飲み物の単価とテーブルチャージですが、これらを積み上げてもPは出てきません。全く逆で、まずPを最初に決めます。どう言うことかと言えば、客単価とはお店の、想定される客層次第でいかようにもなると言うことです。ある程度お金にゆとりがある客層を相手にするのであれば、P=8000円が目安になります。これに一人平均何杯の飲み物を飲むかを設定して例えば3杯として計算すると、1杯2700円になります。これでは1杯が高くなりすぎますので、例えばテーブルチャージを2000円として計算し直すと、1杯2000円となります。これは単価の高いモルトウイスキーなどを加えることで十分実現可能な単価となります。

つまり、Pを最初に決めて、それからそれぞれビールであるとかカクテル、モルトと言った飲み物の単価を決めて行くわけです。当然それぞれ出る割合と、市場価格を考慮します。今回のP=6000はこの想定からテーブルチャージを除いた単価を想定しています。こう言ったことは、実際は、経験を積んだ経営者がやれば瞬時に弾き出すというわけです。

残るのがV(変動費単価)、つまりお酒の仕入れ価格です。例えばフルーツカクテルのように旬のものを扱ったとたん、Vは跳ね上がります。当然、ここはフルーツカクテルの1杯の単価を上げることで、原価率(V/P)15%を維持するようにします。

こうした想定の基で、実際に営業してみて1ヶ月、2ヶ月の状況を見ながら、設定した前提の数字である一人3杯と言うのと1杯2000円と言う数字を実際の数字で修正を加えます。

その上で、Qが損益分岐点に行くか行かないか、Pがどう言った数字になるかによって、その原因を追及し、P、V、Fそれぞれの中身に手を打っていくのがバーの経営です。 KAI