広東酢豚
筆者は、今から二十数年前シアトルの郊外のできたばかりのハの字状の2棟のオフィスビルをかまえるマイクロソフトと、パロアルト近く?の西海岸の浜辺の見えるところに、避暑地にあるような別荘風でコの字型の二階建ての建物をオフィスにしていたデジタルリサーチ社を訪問しました。
当時、パソコンOSの覇権を、マイクロソフトのMS-DOSとデジタルリサーチのCP/Mが激しく争っていた時期で、世間(日本)の評価はもっぱらCP/M優位でした。ところが筆者は困った性格で、なぜか昔から人の言うことを信用しません。と言うより人が言うことの反対を選択するくせがあります(これを人はへそまがりと言いますが)。これを確認するために、当時勤務していた会社の金を使ってわざわざ出かけて、自分の目で確認することにしました。
筆者自身、当時、CP/Mに傾倒していて、正直MSを見下していました。ところが実際にこの目で見た両者は、筆者のアタマだけで想像した世界とまるきり逆だったのです。ビジネスはDRではなくMSだってことでした。事務所で副社長からOSの今後の方針を聞いたからではありません。冒頭のオフィスの建物がらそう考えました。結果はみなさんがご承知の通りです。
人も会社も、《本当の意味の》外観(見た目)がすべてである、と言うのは真実です。
ずいぶん前置きが(超)長くなりましたが、この米国訪問時、海外初めてのシアトルでの最初の食事。場所がわからず、とりあえず入った中華料理の店で注文したのがこの酢豚だったのです。
で、出てきたのが、なんだこれは!砂糖を喰わせるんじゃねえ!と言うような、とんでもない代物でした。この酢豚は酢豚ではなくシュガーパイナップル炒めでした。以来二十年以上筆者は、パイナップルを喰っていません。
ということで、今回はこのパイナップルの入った酢豚です。大好きな炒めものの、p.32。
酢豚とは知らされないまま、出てきて口に入れて、うっ、パイナップル、と思う間もなく、この二十年以上の思いを払拭する、豚とパイナップルの、シャルウイダンス。
なんなんだこれは!めちゃうまいじゃないか!でした。
理由は簡単。豚とパイナップルがお互い重要なパートナー。ああ酢豚って、こう言う料理なんだ。南方の料理人である広東の料理人は、食材にどしどし果肉を使用するそうですが、このパイナップルは酢豚のすっぱさの主役。すっぱさも酢の物では当然ですが料理の味の主役なのです。
豚とパイナップルと言う二人の主役にダンスを踊らせるために、ウェンさんは、それぞれ同じサラダ油で別々に揚げた上で、炒め鍋で踊らせます。そのために、豚肉に切れ目を入れて酒と塩の下味をつけると言うテクを使います。酢と酒で、シャルウイダンスの出来上がり。 KAI
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