自己組織化するアプリケーション(第2部)(13)

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導入(4)−「ルール」の意味

わかりやすいのでマイナス現金を例に、ルールの意味とはどう言うことか考えます。

現金はB/S上、資産です。但しプラスの値を持つ間と言う限定付です。これがマイナスになるとまったく反対の負債になります。つまりこう言うことです。

■買掛支払/現金

と言う仕訳は現金の残高がプラスである間は、このままで何ら問題ありませんが、この仕訳を行うときに現金残高がマイナスになる場合、そのままこの仕訳を続けることはできません。なぜなら現金とは具体的なキャッシュ、札びらだからです。マイナス札びらは存在しません。

もし札びらのない金庫から100万円が支払われたと言うことは、社長が知り合いの会社の社長から借りてきて一時的に立て替えたのかもしれません。もしそうであるなら、仕訳は次のようになります。

■現金/短期借入金
■買掛支払/現金

この二つの仕訳の違いが試算表にどう反映されるかすぐ思い描ける方は、このエントリーの最後の結論だけを読んでいただければそれで終わりです。

試算表上、前者では、資産の縮退が起こります。減らす必要のない資産を減らしています。その結果負債も減らすことができています。実際は友人である社長から借金しているにもかかわらず、このことが試算表に記載されていないと言うことです。

ですから監査法人がこの会社を試算表の負債だけを見て判断をすれば大きな間違いを犯すことになります。

監査法人の担当者は、こんなことはすぐわかりますよ、マイナス現金はすぐ目に付きますね、と仰ります。確かに現金ならば。でも研究費ではどうですか。しかもトータルではプラスならどうしますか。かくして負債を恣意的に最小化するなんて簡単にできてしまうのです。もちろん監査法人も資産の棚卸にやっきになりますが、有る資産なら棚卸できますが、目の前にない資産を誰がどうやって存在証明するのでしょうか。ないものはないのです。

しかし、筆者が主張する自己組織化アプリケーションの設計者は最初からこれを許しません。不正は元から断てです。こう言った経営者の横暴をもチェックするアプリケーションが自己組織化アプリケーションですから、当然、こう言った不正を許さない仕掛けを構築します。(突然なんだか方向性が違ってきてあらたなる自己組織化アプリケーションの目的が追加されましたが、ここら辺は後日話題にします)

ところがこんな外部仕様書やRFPがユーザーである顧客から出てくることはあるのでしょうか。

答えはノーです。 KAI