自己組織化するアプリケーション(第2部)(4)

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分割と階層化の限界(3)

自己組織化アプリケーションの対象とする問題領域の特徴として、その問題領域自体の変化です。

例えば原子力発電所を設計する場合を考えると、将来の電力需要と言う要求仕様を満たすための発電設備の設計と言う問題領域に絞り込むことができます。将来の電力需要の増加、設備の老朽化、運転中の周辺環境への影響、核廃棄物の処理、自然災害対応、テロ対策などすべて当初から、問題領域として想定内です。

これに対して、ビジネスの現場を支えるシステムが対象とする問題領域は異質です。

異質とは、時間軸とともに次々と問題領域が変化すると言うことですが、これはなぜかと言うと、ビジネスの現場の問題領域とはその外部環境に十分に開かれているだけでなく、逆に依存する部分が少なくないからです。つまり、外部環境の変化の結果が問題領域の変化を生んでいるのだと考えられるのです。

こう言った問題領域を扱うためのアーキテクチャこそ、前回のエントリーの「自己組織化型」アーキテクチャなのです。

それはまた後ほど詳しく述べるとして、とりあえずこの問題領域への「分割と階層化」の適用を考えます。

ビジネスの中で一番重要な概念が「取引」と言う概念です。具体的に言えば取引先の企業あるいは消費者を相手の、お金、商品、情報の流れが「取引」と言う概念です。これに社内取引と言う概念を導入すれば、ビジネスと言う現場の問題領域は社内、社外を問わずすべて、「取引」と言う時間・モノ・お金・情報を次元パラメタとする4次元多様体問題と捉えることが可能になります。

これを理解するために「分割と階層化」が無力であるというのは容易に想像できることです。(分割している間に分割対象が消滅した!)

さて、それではこの「4次元多様体問題」をどうすれば、理解し、制御できるのでしょうか。 KAI