「コンテンツとアプリケーション」を考えるヒント

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前回のエントリーで、マスメディアについて触れましたが、文芸欄は健在のようです。

2月5日の産経新聞文化欄に、作家の長嶋有氏が、<ゲームと小説 「選択」を味わう楽しみ>と言う題で、なかなか面白い文章を書いています。

彼について、全く不勉強で存じ上げなかったのですが、プロフィールを読んで一遍に気に入りました。その彼が、昨年末、小説家の立場から見たゲーム批評本を刊行したそうですが、ゲームと小説の関係について、次のような感想を述べています。

 だけど、優れたゲームを遊んでいると、小説を書くときの、無数の選択を思い出す。画面内のキャラクターは、こちらの自由に(むちゃくちゃに)操っているのだが、実は無限にある可能性から選ばれた一種類の線を上手に辿らせてくれているような気持ちになるのだ。ザラザラ地面とツルツル地面の混じった世界に果物が散らばっていたら。なるべく、動きやすいツルツルの地面を選んで果物にたどり着こうとするだろう。ごく自然に我々は選択する。その選択自体がゲームの快感であり、そのプレイは一つの小説を生み出す行為に、実は近いのではないか。

小説を作る行為が、優れたゲームのプレイと同種の感覚の行為であるというのは、初めて読みます。なにぶん、筆者は、小説なるものにまったく興味がなく、高校生以来ここ何十年も読んだことがありませんが、なかなか興味深い指摘です。

以前から取り上げたいテーマに「コンテンツとアプリケーション」と言うのがあるのですが、これが意外と手強くて、なかなか整理できないでいました。長嶋氏の文章は、このテーマに久々にヒントを与えてくれたような気がします。

近いうちにこのテーマについても取り上げるつもりです。期待しないで(笑)お待ち下さい。 KAI