CNETで、ケータイ用フルブラウザであるjigブラウザの好調振りが報じられています。
すわ、jigブラウザが、前回議論したケータイの「デスクトップ」標準を獲る存在になるのか、と一瞬思いましたがそうではなさそうです。
ITmediaに、jig.jpの福野社長へのインタビュー記事があるので、そちらを引用します。
ITmedia 組込フルブラウザとして有名なOperaとの違いは、どこにあるのか。
「Operaとjigブラウザの大きな違いは、アプリとサーバのシステムを合わせて初めてブラウザとして機能するところにある。jigブラウザでは、サーバである程度の処理──HTMLのレイアウト解析を行って、アプリ側で扱いやすいデータ方式に変換して送っている。また、サーバ側で情報を圧縮するので、転送量が少なくなる。効果は、パケット料金というよりも速度向上に現れている」
つまり、jigブラウザは、ブラウザ単独の機能と言うよりASPサービスとの組み合わせでフルブラウザ機能を実現していると言うことになります。これはなかなか良いアイデアですが、恐らくどこかがこの方式のビジネス特許を申請しているのではないでしょうか。もしどこも申請していないなら今すぐやるべきです。こう言ったサービスは、ユーザーが増えれば増えるだけ体力勝負になって、最後は資本を持っている企業が勝つのは目に見えているからです。
ITmedia 例えば、PC上のWebメールサービスを利用するにはJavaScriptへの対応が必須だが。
「JavaScriptの仕様があまりに多いので、普通には対応できない。メールを使いたいという要望は多いと思うので、ブラウザにメールを組み合わせたjigのメールソフトを考えている。これでPOPでアクセスできるアカウントには対応できる。オフィス系ファイルの添付ファイルも対応予定だ。ExcelやWordなどのファイルはHTMLに変換できるので、フルブラウザならそのまま表示できる」
ただし、ここに書かれているような方式(ケータイアプリ)でメール機能やRSS機能をサービスしても、先が見えていると言わざるを得ません。そうではなく、このアイデアを活かして、ケータイ用のフルブラウザ機能のASPサービスに特化するのが得策ではないかと考えます。
仕掛けはこうです。
アプリケーションサーバー上に、Firefox等のブラウザを用意して、自動マウント型で動作するようにセットアップします。ケータイ側のブラウザ機能には、このアプリケーションサーバー側のブラウザの画面をエミュレーションする機能をサポートします(一緒に、アプリケーションサーバー側のブラウザにもエミュレーションのためのEMプラグインをインストールしておく必要があります)。たったこれだけで全てが解決します。
このエミュレーションの中身を、もう少し具体的に説明します。
まず、ケータイブラウザを起動すると、自動的にASPセンターに接続され、ユーザーIDの認証を受けた後、アプリケーションサーバー側のASPブラウザが起動されサービスを開始します。起動されたASPブラウザの画面情報が、各種表示モードに従ってEMプラグインによって加工され、ケータイブラウザに転送されます。以降タイムラインに従って、差分情報のみの転送となります。
一方、端末を操作した昇りの情報をテキストモードのパラメタにして、EMプラグインに割り込みを掛けることで、ASPブラウザのキー操作をエミュレーションすることが可能になります。
この方式のメリットは数限りなくあります。
・ケータイ機種が変わっても全く影響を受けない
・各種ウェブアプリの実行の制限を受けにくい
・クライアントのディスク容量制限を受けにくい
等々
将来、ケータイの性能が向上し、かつ回線スピードが今の有線並みになったとしても、ウェブアプリをそのまま利用できるメリットは変わりません。
残る問題は、ASPサービスのためのサーバー環境です。
ここでも出てくるのがGoogle技術の優位性です。オンラインゲーム業界を支える技術−Googleの掌中に?(その4)で見たように、こう言ったASPサービスのサーバー技術としてGoogleのサーバーはうってつけです。いえ、技術だけでなく、ひょっとしてGoogleはこのサービス自体を準備中かも知れません(笑)。 KAI
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