期せずして同じ問題意識の記事が幾つか上がっています。
デスクトップが123やワードに進化したごとく、ブラウザから新しいアプリケーション・カテゴリーが誕生しようとしています。あたかも種の爆発を予感させるがごとき出来事が、これから起ころうとしています。
いままで私たちは大きな誤解をしていました。ブラウザは単なるデスクトップであってメインの機能はその先にあるにもかかわらず、いつの間にかあたかもブラウザがアプリケーション・カテゴリーであるかのごとく観念でITを理解しようとしていたのです。
記事の一つ目は、いつもの渡辺聡さんのBlog「A9とは何か:John Battelleの見立て(2)」から。
さて、最後の最後にAmazonにとってA9とは何になるのか。予言的になってしまうが、結論を先に書いてしまうと、彼らはAmazonのUI自体を考えているのだろう。もし、サーチが世の主流なトラフィックとなり、Amazonに来て商品を探すという行為がレアになるのなら、サーチそのものの中でどのようなポジションを得ていくのかがAmazonにとっての勝負どころとなる。
ユーザーはAmazonに来て商品を探すのではなく、情報を探した結果必然的にAmazonに辿りつき、ついでに「ふんふん、なるほど」で終わらずに商品購入と決済も出来てしまうという流れに変わる。
そういう世の中になる、もしくはなっても大丈夫なように手を打っているというのがAmazon全体からみてのA9だと解するのが綺麗である。完全に統合される方向で動くのか、別個で動きつつAmazon字体はWebAPI、Webサービスの塊として機能しつつフロントのみA9が取るような形になるのかはもちろん分からないが(おそらく後者だろう)、最適なポイントを探してバランスを見ていくことは間違いない。
A9を含めたAmazon全体を一つの大きなアプリケーションと見なすと、以前のソフトセクターの議論の中のKAIモデルで言うところの、<業界><業務><業務機能><機能>を縦方向に一気通貫で実現するアプリケーションシステムと言うことになります。つまり単なるブラウザのUIレベルの問題ではないと言うのは明らかです。
次に梅田さんのBlog。タイトルの「データの重要性を指摘するO'Reilly」と、実際の内容ではずいぶんかけ離れているのですが、要はアプリケーションに最適化したUIが渇望されていると言う事実です。
eメールやIMも「ソーシャルソフトウェア」ととらえなおして、もっと面白いものをどう作れるか考えるべきだと、Timは主張する。
結局、Googleという会社はそういう諸々を統合することをずっと考えてきたのだろうな、とあとになって気づくわけであるが、eメール、IMといった旧来からのコミュニケーション・アプリケーションに、ソーシャルネットワーキング(SNS)、サーチ、Blog、RSSといった新事象を融合させてどんな新しい価値を生みだせるのか、というあたりが、いま最もホットなバトルフィールドになりつつある。
これらをブラウザ(デスクトップ)ではなく各アプリケーション機能と認識すると、要は、求められているのがデスクトップ上の具体的なアプリケーションであると言うのは明白な事実です。
Firefox、5日間で100万回のダウンロード--予想をしのぐスピードで目標達成
ここにあげたような話は、世間ではブラウザ戦争と誰もが思うでしょうが、実態は、ブラウザ機能を内包したアプリケーション戦争以外の何者でもありません。 KAI