ソフトセクターとは(その6)

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ソフトセクターの競争戦略(4)KAIモデル

このところDoSアタックが凄まじいです。外部から自分のBlogが見れなくなったと思ったら、10数ヶ所のIPアドレスからアタックを受けていました。RSSフィーダの不具合を利用したアタックだと思いますが、完全にルーターがビジー状態でした。この春からBlogを始めましたが、このせいでアタックを受けると言うのは痛し痒しです。

さて、前回のエントリーを書き直すつもりでしたが、追加で書いていきます。

KAIモデルのパラメタである「業界」、「業務」、「業務機能」、「機能」とはどう言ったものか理解するために、簡単な目安を示します。それは私たちのASPサービスの対象である通販業界を例に説明すると、この業界の約半数の企業が、60の業務、600の業務機能、4800の機能でカバーできると言うものです。これは1企業が4800の機能全てを必要とすると言う意味ではなく、1企業で必要となるのはこのうちせいぜい約3割の機能です。

1機能は約300から500ステップですから、業界システムとしては、全体で約200万ステップになります。このシステムの規模について、以前のエントリー「「システム」と「ツール」続き」の中で、

100万行、業界用語?で1000K。(20年以上前のことでかなり記憶が不確かですが、銀行のオンラインシステムが3000K程度だったと思います。これを大体300人位の体制で開発していたと思いますので、石黒さん達の体制を45人と仮定すると丁度生産性が2倍程度向上していることになります。)

今まともなアプリケーションシステムを作ろうと思えば、この100万行程度のコードが必要です。

と書いたのはこう言う裏付けを持っているからです。

更に上で、「1企業で必要となるのはこのうちせいぜい約3割」と書きましたが、KAIモデルでは、企業毎の3割の組み合わせに一定のパターンがあるわけではなく、その企業一社毎の、業務内容に合わせて幾つかの機能が必要となり、しかもこれは時間とともに変化していきます。

このことから色々な仮説を導くことができます。

■既存の業界用アプリケーションが通用しないのは、圧倒的に機能が不足しているからではないか。
■不足している分をカスタマイズしても、その機能が、既存機能と連携していないのではないか。
■カバーするのが一部の限られた業務になっているのではないか。
■不足する業務を、まるで設計思想が異なる他のアプリケーションと、データレベルで連携できると考えているのではないか。

これらについての検証は次回以降に譲るとして、更に論を進めます。

さて、本題のソフトセクターの競争戦略としての、ソフトアセットである業務ノウハウは、4800の機能一つ一つの中にあるのではなく、4800の機能の組み合わせの総体の中にあると言うのは明かです。別の言い方をすると、ソフトアセットは4800の機能が全てそろってこそソフトアセットとしての価値を持つと言うことです。

メッセージ型ソフトセクターを選別する基準とは何か、ソフトセクターの競争戦略とは何か、この事実から容易に導くことができます。

それは、ソフトセクターの競争が、数千規模の「機能」をいかにコントロールするかの戦いの次元まで上がってきたと言うことです。これは、今までの、限られた数の機能の中でいかに品質の高いアプリケーションを供給するかという戦いのステージとは、量も質も異なる全く別次元の世界の競争です。

小手先でWebサービスを設計するようなアプリケーション開発では今や通用しない時代にシフトしてきていると言うことでもあります。以下次回。 KAI