pull型広告にはpush型広告も必要?

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面白いニュースが飛び込んできた。

「広告がクリックされない」--グーグルの先行きを疑問視する調査結果が発表にという記事。

市場調査会社のVividence(本社:カリフォルニア州サンマテオ)が米国時間の25日に公表した調査では、Googleを使って検索した結果が、他の検索サイトの結果とさほど変わらないことが明らかになった。加えて、検索業界トップの同サイトは現在もうまく顧客を集めてはいるが、同サイトに表示される広告をユーザーがクリックする頻度が他のサイトに比べて低いという。

(中略)

 Googleにとって、ライバル各社による物真似以上に脅威なのは、同社サイトにおける広告のクリック率で他サイトと比べて低いことだ。広告は同社の主要な収入源だが、Vividenceが実施したテストでは、スポンサードリンクや広告がクリックされる頻度に関して、Googleは最下位だったという。

 広告のクリック率が最も高かったのはAsk Jeevesで、2位以降はLycos、MSN、Yahoo、Googleの順となっている。なお、GoogleはAsk Jeevesに検索関連の広告リンクを提供している。Watkinsによると、Googleがライバルに遅れをとった理由の一部には、同社が検索結果のリンクと広告リンクとを厳しく区別しているのに対して、他のサイトでは両者を混在させて表示している点が考えられるという。

「Googleがライバルに遅れをとった理由の一部には、同社が検索結果のリンクと広告リンクとを厳しく区別しているのに対して、他のサイトでは両者を混在させて表示している点が考えられるという」とありますが、検索結果そのものの表示は、どれもスポンサードサイトを先に表示する仕様で違いはないのではないでしょうか。

むしろ違いは、キーワードと(直接的に)関係ない広告の存在のありなしが影響しているのではないかと推測します。

もしこの仮説が正しければ、正に前回から取り上げているpush型広告とpull型広告の問題が関係しているとも言えます。具体的に言うと、pull型広告の中にpush型広告が入ることを消費者は、むしろ望んでいる、と言えるのではないかと言うことです。

今から丁度20年前、一橋大学の教授だった今井賢一氏がA型情報、B型情報という概念を持ちだして、ネットワーク組織での情報の意味を論じておられたと記憶していますが、今回は正にこれが関係しているような気がします。このA型情報とB型情報の関係については、金子郁容氏が「ネットワーキングへの招待」(中公新書)の中で、コード情報とモード情報という用語を使用して説明しています。

以下では、コード化できる情報を「コード情報」と呼び、コードでは表しにくいもの、その雰囲気、やり方、流儀、身振り、態度、香り、調子、感じなど、より複雑に修飾された情報を「モード情報」と呼ぶことにする。モードとは、様式であり、ファッションでいう「モード」でもある。コード情報、モード情報はそれぞれ右でいう(縦書き・引用者注)A型情報、B型情報と基本的には同じであるが、われわれは、「A、B」より記述的でイメージが湧きやすい「コード・モード」という用語を使うことにする(コード・モードは私が過去にA・Bといっていたものより意味がかなり限定されている)。

以降は私の勝手な解釈と推論ですが、pull型広告がここで言うコード情報でありpush型広告はモード情報に該当するのではないか、人は、コード情報ではなくモード情報、つまりpush型広告を根拠に行動するのではないかと言うことです。

これらの話をすべてまとめると、検索エンジンの検索結果の表示画面にも検索キーワードと(直接的な)関係のないキャンペーン広告が必要ではないかと言う結論になります。もちろん、キーワードのスポンサード広告と領域を分ける必要はあります。(この場合ポップアップ広告は論外です)

新聞のスポーツ欄を開くとそこには昨日のプロ野球の結果に並んで様々な広告が掲載されていますが、私たちはそれに違和感を持ちません。検索エンジンの検索結果にキャンペーン広告があっても同じように違和感ないのではないか。これは新聞のスポーツ欄とキーワード検索の結果画面とが同じ位置づけ、同じ意味を持ちつつあるのではないかという新たなる仮説でもあります。 KAI

(追記)
Ask Jeevesに行ってみました。トップページからProduct Serchがあって、これを開くともうしっかりカテゴリがあるじゃないですか!これこそ(不十分ですが)push型広告です。やはり検索エンジン(pull型広告)にはpush型広告が必須です。